アデノウイルス、パルボウイルス、パポーバウイルス

 

アデノウイルス
アデノウイルスには、40以上の血清型が存在する。DNAウイルスである。強い抵抗性をもっており、エンベロープをもたない構造になっている。

 

 アデノウイルスの病原性・感染症
アデノウイルスによる感染症には、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、急性熱性咽頭熱、肺炎、乳幼児急性胃腸炎などがある。

 

・咽頭結膜熱
プールなどの水を通して感染するため、プール熱と呼ばれることがある。学校の水泳の授業などで集団感染が起こる恐れがある。

 

・流行性角結膜炎
粉塵(ふんじん)によって角膜や結膜にすり傷がつくことで、角膜や結膜に炎症が起こりやすくなる。この感染症の患者を治療する際、患者に触れた指などから院内感染を起こさないように注意する必要がある。

 

・急性熱性咽頭熱
この感染症では、かぜ症候群、頸部のリンパ節の腫脹、咽頭の発赤が引き起こされる。

 

・肺炎
重い肺炎が引き起こされることがある。

 

・乳児急性胃腸炎
かぜのような症状が現れる。その後で、下痢、嘔吐、腹痛が引き起こされる。

 

 

パルボウイルス
パルボウイルスは、DNAをもつウイルスである。

 

 パルボウイルスの病原性・感染症
小児の場合、パルボウイルスの感染によって、伝染性紅斑が引き起こされる。伝染性紅斑の症状として、頬での紅斑、発熱があげられる。また、伝染性紅斑は、リンゴ病とも呼ばれる。

 

その他のパルボウイルスの感染症として、成人女性に引き起こされる関節炎、子宮内の胎児に感染して引き起こされる胎児水腫などがあげられる。

 

 

パポーバウイルス
パポーバウイルスは、DNAウイルスである。腫瘍を形成する性質をもっている。

 

 ヒトパピローマウイルス(HPV)
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、皮膚や粘膜などの上皮組織に感染し、そこにいぼ(疣)を形成する。また、このウイルスには数多くの型があり、型によっていぼを形成する場所が変わる。

 

体内の正常な細胞には、細胞の異常な増殖を抑える遺伝子であるがん抑制遺伝子が存在する。また、ヒトパピローマウイルスには、細胞を不死化させる作用をもつ型がある。

 

上記の型のヒトパピローマウイルスの遺伝子が生成したタンパク質が、がん抑制遺伝子が生成するタンパク質に結合した場合、がん抑制遺伝子の作用が消失する。この結果、その細胞が異常な増殖を起こすことになる。