カンピロバクター、スピリルム、ヘリコバクター

 

カンピロバクター
カンピロバクターは、グラム陰性であり、らせん状の菌体をもつ杆菌である。鞭毛(べん毛)をもっている。

 

カンピロバクターのうち、人に対して病原性を示すものとして、カンピロバクター・ジェジュニカンピロバクター・コリカンピロバクター・フィータスがあげられる。

 

また、カンピロバクターに属する菌の培養には、窒素と二酸化炭素の濃度を上げて、酸素の濃度を下げた環境をつくる必要がある。

 

 カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリ
カンピロバクター・ジェジュニと、カンピロバクター・コリは、どちらも42℃の環境でも発育できる。このことから、どちらも好熱性カンピロバクターと呼ばれることもある。

 

どちらの菌も、トリの排泄物や鶏肉などが、感染源となっている。また、どちらも食中毒の原因となる菌であり、感染した場合には、腸炎、粘血便が混じった下痢が引き起こされる。

 

新生児や幼児などの場合、上記の細菌の食中毒を起こすことが多い。また、成人の場合でも、上記の細菌による食中毒を起こす場合がある。

 

 カンピロバクター・フィータス
カンピロバクター・フィータスは、新生児に感染する。髄膜炎を引き起こす。また、ときどき下痢を引き起こす場合もある。

 

 

スピリルム
スピリルムのうち、人に対して病原性を示すものとして、鼠咬症スピリルムがあげられる。

 

 鼠咬症スピリルム
鼠咬症スピリルムは、グラム陰性のらせん菌である。鞭毛(べん毛)をもっている。ネズミなどの動物が、この菌の保菌者になっている場合がある。

 

 鼠咬症スピリルムの病原性
体内に鼠咬症スピリルムをもつネズミにかまれることで、この菌に感染する。かまれたとき、その場所は一度治る。

 

その後、10~12日経ったころに、かまれた場所に炎症が起こる。さらに、皮膚の発疹と急な発熱が、症状として引き起こされる。この症状で起こる発熱は回帰熱型であり、発熱と下熱とがくり返される。

 

 鼠咬症スピリルムに対する治療法
抗生物質の投与が、鼠咬症スピリルムに対する治療法としてあげられる。

 

 

ヘリコバクター

 

 ヘリコバクター・ピロリ
ヘリコバクター・ピロリは、グラム陰性を示す、らせん状の菌体をもつ杆菌である。この菌は、胃潰瘍や慢性の胃炎の原因菌と考えられている。また、細胞を空胞化させる毒素や、尿素分解酵素(ウレアーゼ)をつくる。