狂犬病ウイルス、フィロウイルス(マールブルグウイルス、エボラウイルス)

狂犬病ウイルス
狂犬病ウイルスは、RNAをもつウイルスである。狂犬病ウイルスを媒介する動物には、イヌ、キツネ、コウモリ、アライグマなどの哺乳類が存在する。

 

日本などの先進諸国では、野犬の取り締まりや、飼い犬のワクチン接種や登録などによって、狂犬病を制圧できている。

 

 狂犬病ウイルスの感染経路
感染した動物の唾液にウイルスが含まれており、それらの動物にかまれることによる感染か、感染した動物の飛沫(エアゾル)による感染が、それぞれ感染経路としてあげられる。

 

 狂犬病ウイルスの病原性
体内に侵入した狂犬病ウイルスは、神経細胞に感染する。そして、中枢神経に到達して増殖を行う。これにより、脳炎が引き起こされる。また、中枢神経で増殖したウイルスは、皮膚、筋肉、唾液腺、核膜などの末端部に進行する。

 

狂犬病は、1~3ヶ月ほどの潜伏期の後に発病する。狂犬病が発病すると、食欲不振、全身の倦怠感(けんたいかん)、幻覚、痙攣(けいれん)、水を見たときに起こる恐水発作などの症状が現れる。最終的には、筋組織に麻痺が起こって死に至る。

 

一度狂犬病が発病してしまうと、基本的には回復することはない。

 

 狂犬病ウイルスに対する予防法
狂犬病ウイルスに対する予防法として、不活化ウイルスワクチンの接種があげられる。狂犬病ウイルスに感染した後であっても、ワクチンの接種によって予防できる可能性がある。

 

 

フィロウイルス
フィロウウイルスは、RNAウイルスである。フィロウウイルスに属するものとして、マールブルグウイルスエボラウイルスがあげられる。

 

 フィロウイルスの感染経路
フィロウウイルスは、感染者との接触による感染や、感染者の血液による血液感染などの経路で感染する。

 

 フィロウイルスの病原性
フィロウイルスのうち、マールブルグウイルスによってマールブルグ病が引き起こされる。また、エボラウイルスによってエボラ出血熱が引き起こされる。どちらも致命率が極めて高い、劇症の疾患である。

 

フィロウイルスに感染した場合、4~21日ほどの潜伏期の後に発病する。発病する際には、悪寒、頭痛、発熱、筋肉痛などの症状が現れる。

 

発病すると、嘔吐、下痢、腹痛が引き起こされる。さらに、消化管などの内部や皮膚などに出血が起こる。

 

 フィロウイルスに対する予防法
日本では、輸入動物との接触や、輸入動物の体液や血液などに注意することなどが、フィロウイルスに対する予防法として考えられる。