細菌に適した環境、嫌気性菌、好気性菌

細菌に適した環境
細菌の培養を行う場合、温度湿度酸素濃度培地のpH塩分濃度などの環境を、その細菌に適したものにする必要がある。

 

 温度
細菌の増殖や発育のためには、その細菌に適した温度が必要になっている。細菌の増殖と発育に一番適している温度のことを、至適温度という。至適温度は、細菌によって異なる。

 

また、至適温度でなくても、その細菌の増殖や発育が可能となりうる温度の範囲がある。この温度の範囲のことを、発育温度域という。発育温度域も、細菌によって違いがある。

 

 湿度
細菌が発育と増殖をするのに必要な栄養は、水に溶け込んで細菌へと吸収される。そのため、細菌が生存し続けるには、ある程度高い湿度が必要になる。

 

上記のことから、細菌を培養する培地には、十分に水分が含まれていなければならない。

 

 酸素のガス分圧

 

・嫌気性菌
細菌には、エネルギーをつくるのに酸素を必要としないものが存在する。そのような細菌のことを、嫌気性菌という。

 

・好気性菌
嫌気性菌とは反対に、エネルギーをつくるために酸素を呼吸する必要がある細菌も存在する。こうした細菌のことを、好気性菌という。

 

・偏性嫌気性菌
酸素がある場所では、エネルギーをつくる過程でさまざまな酸素化合物ができる。それらの酸素化合物には、有害なものもある。

 

有害な酸素化合物を無毒化できる酵素をもたず、有毒な酸素化合物によって死滅する細菌のことを、偏性嫌気性菌という。偏性嫌気性菌を培養するには、培地に存在する空気を酸素以外の気体に置き換える必要がある。

 

・通性嫌気性菌
嫌気性菌のうち、酸素が存在する場所では酸素の呼吸を行い、酸素のガス分圧が下がった場合に、酸素を使わない発酵によって発育を行うものがいる。そのような細菌のことを、通性嫌気性菌という。

 

・その他の細菌
細菌には、二酸化炭素を使うものも存在する。こうした細菌の培養には、密閉した空間をつくり、二酸化炭素のガス分圧を上げることが必要である。

 

 pH
菌を培養するための培地のpHは、その菌に適した状態に維持されている必要がある。菌の発育に適したpHのことを、至適pHという。

 

また、至適pHほどでなくても、菌の発育や増殖が可能になるpHの範囲のことを、発育pH域という。至適pHと発育pH域は、それぞれ菌ごとに異なる。