全身性真菌症・深在性真菌症、接合菌症

全身性真菌症・深在性真菌症
全身性真菌症や深在性真菌症では、真菌が動物の内部の組織で育つ。そして、全身性真菌症の場合には、真菌が全身性に広く散らばる。また、深在性真菌症の場合には、真菌が深部の方で広く散らばる。

 

全身性真菌症や深在性真菌症の原因となる真菌を大きく分けると、内因的起源菌外因的起源菌とに分類できる。

 

内因的起源菌は、人の体の常在菌として存在するものである。外因的起源菌は、体の外の環境に存在するものである。

 

 カンジダ症
この疾患は、病原性をもつカンジダ属の真菌によって引き起こされる。病原性をもつカンジダ属の真菌には、カンジダ・アルビカンスなどが存在する。

 

原因となる真菌は、健康な人の口腔、消化管、膣の常在菌となっている。宿主の免疫力が下がるなどの場合に、原因となる真菌によって日和見感染菌交代症が起こる。

 

カンジダ症では、皮膚、口腔、消化管、膣、呼吸器などが障害される。さらに、原因となる真菌が、体全体に感染が及ぶ場合もある。

 

・カンジダ症の治療法
カンジダ症の治療法として、抗真菌薬の使用があげられる。この場合に使用される抗真菌薬には、外用薬と内服薬とがある。

 

 クリプトコックス症
クリプトコックス症は、クリプトコックス・ネオフォルマンス(テレオモルフ)という真菌が感染することで引き起こされる。この疾患の原因となる真菌は、自然界に存在する。また、人から人や、動物から人への感染は起こらない。

 

健康な状態であれば、感染することは少ない。その一方で、結核、白血病、エイズなどで免疫機能が弱まっているときに、原因となる真菌による日和見感染を起こすことがある。

 

クリプトコックス症では、皮膚や肺での感染が原発巣となる。さらに、体全体まで感染が広がり、その他の臓器まで障害される。

 

また、クリプトコックス症は、病巣が存在する場所によって、皮膚粘膜クリプトコックス症、肺クリプトコックス症、中枢神経系クリプトコックス症などに分類される。

 

・クリプトコックス症の治療
クリプトコックス症の治療法として、抗真菌薬の投与があげられる。

 

 アスペルギルス症
アスペルギルス症は、深部真菌症にあてはまる。アスペルギルス属の真菌である「Aspergillus fumigatus」や「Aspergillus niger」などが感染することで、アスペルギルス症が引き起こされる。

 

また、この疾患の原因となる真菌は、普段、人が生活する環境に存在している。

 

アスペルギルス症は、感染の状態によって、皮膚アスペルギルス症肺アスペルギルス症内臓アスペルギルス症などに分けられる。

 

また、アトピー素因を持つ患者の場合、アレルギー性気管支炎アスペルギルス症を起こすことがある。

 

上記の疾患では、原因となる真菌が気管支に感染し、その真菌によって強力な抗原刺激が現れる。これにより、血液内や肺における好酸球増多や、喘息の発作が引き起こされる。

 

抗がん薬やステロイドを使って治療しているときや、末期のリンパ腫や白血病などで体の抵抗力が下がっているときには、アスペルギルス症を起こしやすい。

 

・アスペルギルス症の治療法
アスペルギルス症の治療法として、体内の病巣を手術によって取り除く外科的治療や、薬物療法があげられる。皮膚の感染であれば、感染した部分を清潔にすることも、治療に効果的である。

 

 

接合菌症
接合菌症は、接合菌類の真菌が感染することで発病する疾患である。接合菌症にあてはまる疾患には、ムーコル属の真菌である「Mucorales」が引き起こすムーコル症などがある。

 

ステロイドを使用している患者の場合などでは、接合菌症における皮膚感染を起こすことがある。

 

接合菌症における全身性の感染の場合、その発病に合わせて、白血病や糖尿病などを発病する。さらに、原因となる真菌の初感染が肺で起こる。そこから、脳を含めて、体全体に感染が及ぶ。

 

 接合菌症に対する治療
接合菌症に対する治療法として、抗菌薬の使用があげられる。

 

もし、ステロイドを使用していた場合には、ステロイドの使用をすぐに止める。また、白血病や糖尿病を発病している場合には、白血病や糖尿病の治療が優先される。