細菌性食中毒の種類・特徴、菌の種類、感染源となる食品

食品によって起こる中毒症のことを、食中毒という。食中毒の多くは、細菌が原因となって引き起こされる。

 

その他の原因には、生物の毒素や化学物質によって起こす場合がある。しかし、細菌を原因とする中毒の割合の方がはるかに大きくなっている。

 

食中毒を起こす菌の種類によって、人に感染するのに必要とする菌の数は異なる。

 

例をあげると、サルモネラ菌の場合は、人間1人あたりで約107個の菌がいなければ感染できない。一方で、腸管出血性大腸菌の場合は、わずかな菌の数であっても感染する。

 

 細菌性食中毒の種類
細菌を原因とする食中毒は、感染型食中毒毒素型食中毒とに分類できる。

 

・感染型食中毒
食品の中で増殖を行った菌を食品ごと摂ったときに、その菌かその菌の毒素に体を障害される。それにより、下痢が引き起こされる。これが、感染型食中毒である。

 

・毒素型食中毒
食品の中で増殖を行った菌が、食品の中で毒素を出したとする。その毒素を含んだ食品を摂ることで、菌がつくった毒素によって中毒症状が起こる。これが、毒素型食中毒である。

 

毒素型食中毒の場合の毒素は、感染型の菌が出す毒素よりも、消化酵素や胃酸などで働きを失いにくい。

 

 

菌の種類、感染源となる食品
感染源となる食品は、その菌の種類ごとに異なる。そして、食中毒の発生には季節も関係しており、冬よりも春~秋の季節の方が、食中毒の発生が多くなる。

 

食中毒の原因菌のうち、主なものを以下に解説していく。

 

・ブドウ球菌
ブドウ球菌は、人の体に常在している。食品を調理した人がもっている菌によって、食品が汚染されて感染源となる場合がある。

 

ブドウ球菌によって起こる食中毒は毒素型である。主な症状として、強い吐き気と嘔吐などがあげられる。さらに、下痢や腹痛が引き起こされることがある。

 

・病原大腸菌
大腸菌のうち、病原因子をもった病原大腸菌によって、下痢を主な症状とする食中毒が引き起こされる。

 

病原大腸菌の1種である腸管出血性大腸菌は、ベロ毒素という毒素を出す。この毒素による食中毒の場合、下痢が治まった後でも、溶血性尿毒症症候群という重い合併症を引き起こす。

 

・サルモネラ
サルモネラの保菌者となっている人や動物の他、ゴキブリ、ハエ、ネズミなどが食品を汚染した場合、その食品は、サルモネラの感染源となる。さらに、感染したニワトリが産んだ卵も感染源になる。

 

サルモネラによる中毒では、急性の胃腸炎が引き起こされる。その症状として、発熱、嘔吐、下痢、腹痛などがあげられる。

 

・腸炎ビブリオ
海水や、海水と淡水が入り混じる汽水域には、腸炎ビブリオが常在している。そのため、海で捕れる魚介類などが感染源になる。

 

腸炎ビブリオによる食中毒の主な症状は、下痢である。その他の症状として、水様便が起こる。さらに、粘血便が起こることがある。

 

・ボツリヌス菌
ボツリヌス菌は、土に存在する偏性嫌気性菌である。土で汚染された後に嫌気状態に保たれている食品が感染源になる。

 

ボツリヌス菌によって起こる食中毒は毒素型である。この食中毒の主な症状として、麻痺症状、分泌障害、眼の症状があげられる。また、ボツリヌス菌による食中毒は、死亡率が極めて高い。

 

・カンピロバクター
カンピロバクターの場合、感染したニワトリ、汚染した後で十分に加熱処理されなかった鶏肉、トリの糞便に汚染された水などが感染源になる。カンピロバクターによる食中毒の主な症状は、発熱や粘血便である。