病気の原因、内因・外因の分類
病気の原因
病気にかかった場合、そのことには必ず原因が存在する。このとき、病気の原因となるもののことを病因という。
病因には、内因のものと外因のものがある。
内因は、先天性、もしくは後天性に体にもっている、特定の病気の起こしやすさ、もしくは起こしにくさのことである。外因は、体の外から体に侵入して起こるものである。
これらの内因と外因とが相互的に作用することで、病気を起こす場合が多いとされる。
内因の分類
内因には、素因、遺伝・染色体異常、内分泌障害、免疫がある。
素因
病気を起こしやすい体の性質や状態のことを、素因という。素因には、一般的素因と個人的素因(体質)とがあげられる。
・一般的素因
性別、年齢、人種などの側面から人を集団として考えて見た場合に確認できる、共通する素因のことを一般的素因という。
たとえば、人種素因から見た場合、日本人には肺がんが多いとされている。また、年齢素因から見た場合であれば、高齢者には、がんや動脈硬化が多いとされている。
・個人的素因(体質)
その人自身について、遺伝的にもっている、もしくは、生まれた後で身についたすべての特性をまとめたものを、個人的素因(体質)という。たとえば、喘息や皮膚の湿疹などは、アレルギー体質の人に起こりやすいとされる。
遺伝・染色体異常
親から子に遺伝子や染色体が受け継がれる際、その遺伝子や染色体に異常があると、その異常によって病気を引き起こすことがある。
内分泌障害
体に存在する臓器のうち、体の機能の調節に関与するホルモンの生成や分泌を行うものを内分泌腺という。内分泌腺の状態は、その内分泌腺で生成・分泌されるホルモンに影響を与える。
内分泌腺に何らかの異常がある場合、それにより、何らかの疾患が引き起こされる。例の1つとして、バセドウ病は、甲状腺の機能が異常に亢進される内分泌性の疾患である。
免疫
体の外から体内に侵入した微生物(細菌、ウイルスなど)や毒素などの異物に対して抵抗し、体を守る仕組みのことを免疫という。
麻疹などの感染症にかかった場合、同じ感染症にはかからないように、免疫が確立される。また、ワクチンなどの予防接種を受けることで、新しい免疫力を身につけることが可能となっている。
免疫には、人体にとって有益なものだけでなく、有害な反応を示すものも存在する。これをアレルギーという。アレルギーによる疾患には、アトピー性皮膚炎などがあげられる。
外因の分類
外因には、栄養障害、物理的因子、化学的因子、生物学的因子がある。この他にも、医原病と公害病もそれぞれ病気の外因の型であるとされる。
栄養障害
生きていくためには、さまざまな栄養を摂る必要がある。しかし、体で受け付けられる限度を超えて栄養が摂取された場合や、必要な分まで栄養を摂ることができない場合、それが病因となることがある。
体に必要な栄養素は、糖質、脂質、タンパク質、無機質、ビタミン、水などさまざまである。また、呼吸によって酸素を取り入れることも、生きるために欠かせないことである。
・酸素
生体の細胞に対して持続的な酸素の供給が弱まる、またはできなくなると、その細胞が壊死を起こすことがある。このことは、生命に危険を及ぼすことになってしまう。
酸素の欠乏は、以下の場合などで引き起こされる。
・肺炎などの呼吸器の疾患によって、酸素を十分に取り入れられない場合
・密閉された部屋や高所などで、呼吸する空気の酸素の濃度が低い場合
・一酸化炭素中毒などで、血液における酸素の摂取力が下がっている場合
・気道の狭窄などで、肺胞まで十分に酸素を送れない場合
物理的因子
外部からのさまざまな物理的因子により、それに関係する疾患にかかる場合がある。そのうち、主なものを以下に示す。
・高温 : 熱傷
・低温 : 凍傷
・気圧 : 高山病
・電気 : 心臓麻痺
・日光(紫外線) : 日光皮膚炎
・事故などの機械的因子 : 外傷
化学的因子
特定の化学物質が体内に入ることで、何らかの疾患や中毒を起こす場合がある。
生物学的因子
病原性をもつ細菌・ウイルス・真菌・原虫などの微生物が体内に侵入した場合、その微生物による疾患が起こる。生物学的因子は、病気を引き起こす外因のうち、多くの割合を占めている。
病原性をもつ微生物の体内への侵入経路は、その微生物ごとに異なる。
医原病(医原性疾患)
患者に対して行った薬剤治療などの医療行為を原因とする疾患や症状のことを医原病(医原性疾患)という。
公害病
水質汚染や騒音などの環境破壊によって起こる公害を主な原因とする疾患のことを公害病という。