白血球増加症、白血球減少症、血友病、形質細胞腫、多発性骨髄腫

白血球増加症
末梢血(末梢の血管に流れる血液)に存在する白血球の数が、正常な範囲よりも増えた状態のことを白血球増加症という。白血球のうち好中球が増えた状態は、感染症の大部分で確認される。

 

 好中球の核左方移動
好中球が増えた状態では、好中球のうち、分葉核好中球が存在する割合が減る。さらに、分葉核好中球に分化する前の段階である杆状核好中球が存在する割合が増える。この状態のことを、好中球の核左方移動という。

 

 類白血病反応
白血病の場合、末梢血の中では、白血球の本来の機能を発揮しきれない白血球系の細胞の増加が目立つ。

 

また、本来の白血球がもつ作用を発揮できない白血球系細胞が、末梢血に多く存在する異常な状態は、白血病でない場合であっても起こることがある。それを類白血病反応という。

 

重い症状を示す感染症や、骨髄にがんが転移した場合、類白血病反応が現れる。

 

 

白血球減少症
末梢血(末梢の血管に流れる血液)に存在する白血球の数が減少する状態を白血球減少症という。

 

 顆粒球減少症(無顆粒球症)
白血球減少症の場合、白血球の1種である好中球の数が減ることがとくに多い。このような状態を顆粒球減少症(無顆粒球症)という。

 

顆粒球減少症(無顆粒球症)によって白血球が減ることで、微生物の感染に抵抗する力が大きく弱まわってしまう。この状態で、肺炎などの感染症を起こした場合、死に至る危険性がある。

 

・顆粒球減少症(無顆粒球症)の原因
顆粒球減少症(無顆粒球症)の原因として、細菌やウイルスによる感染症、特定の薬剤による中毒があげられる。

 

 

血友病
血友病は、そのほとんどが劣性遺伝(伴性遺伝)によって生じる。そして、血液凝固因子に異常が確認される疾患である。血友病の患者となるのは、ほとんどが男性である。そして、女性が血友病患者になることはまずない。

 

 血友病の分類
血友病のうち、血友病Aの場合、血液凝固因子の1種である第Ⅷ因子が異常を起こしたことで生じる。血友病Bの場合、血液凝固因子の1種である第Ⅸ因子が異常を起こしたことで生じる。

 

 血友病の症状
血友病では、血液の凝固にかかる時間が非常に長くなる。

 

 血友病の治療
血友病の治療法としては、血漿製剤の使用と輸血があげられる。

 

 

形質細胞腫、多発性骨髄腫
Bリンパ球から分化した細胞として、形質細胞がある。形質細胞は、体に侵入した異物に対応できる免疫グロブリン(抗体)をつくる働きをもつ。

 

形質細胞が腫瘍に変化し、増殖する状態を形質細胞腫という。また、骨髄の中で結節を大量に生成して発病する形質細胞種を多発性骨髄腫という。

 

腫瘍に変化した形質細胞は、数多くの免疫グロブリン(抗体)をつくる。これにより、血清に含まれているγグロブリン(ガンマグロブリン)が増える。

 

さらに、Mタンパク(単クローン性の免疫グロブリン)というものが現れる。Mタンパクは血液へと送られる。

 

すると、抗体を構成するH鎖(重鎖)とL鎖(軽鎖)のうちのL鎖だけで構成される免疫グロブリンであるベンス・ジョーンズタンパクが尿の中に現れる。

 

ベンス・ジョーンズタンパクが、腎臓から血流を通して尿の中に現れた場合、腎尿細管障害を生じる。