神経系のウイルス感染症、プリオン病の種類と症状

神経系のウイルス感染症

 

 単純ヘルペス脳炎
単純ヘルペスウイルスには、Ⅰ型のウイルスとⅡ型のウイルスとが存在する。

 

単純ヘルペス脳炎のうち、小児や成人に発病する急性脳炎の場合、単純ヘルペスウイルスのⅠ型によって起こるのが一般的である。

 

小児や成人に発病する急性の単純ヘルペス脳炎の場合、脳が侵された場所での出血と壊死が現れる。

 

・単純ヘルペス脳炎の症状
単純ヘルペス脳炎が発病する場合、意識障害、発熱、頭痛、痙攣(けいれん)、記憶障害、嗅覚障害などの症状が現れる。また、単純ヘルペス脳炎を発病した場合、すぐに重症化する。

 

・単純ヘルペス脳炎の治療
単純ヘルペス脳炎の治療法として、抗ヘルペス薬の使用があげられる。

 

 

 日本脳炎
日本脳炎ウイルスが原因となって発病する、急性のウイルス性脳炎を日本脳炎という。日本脳炎は、死亡する危険性が高い疾患である。

 

また、日本脳炎ウイルスを伝播させるものとして、コダタアカイエカという蚊(か)が存在する。コダタアカイエカは、7~9月に発生するため、日本脳炎が発生する期間も7~9月となっている。

 

・日本脳炎の症状
日本脳炎の場合、発病の初期には高熱、嘔吐、頭痛などの症状が現れる。そこからしばらく経つと、痙攣(けいれん)、意識障害などの症状が起こる。

 

日本脳炎の急性期を過ぎた場合、その大半が後遺症として、人格の変化、感情の異常などの症状を残す。

 

・日本脳炎の治療
日本脳炎の治療法として、抗生物質や抗けいれん薬などを用いた薬剤療法があげられる。また、日本脳炎を治療する場合、適度な栄養の補給や気道の確保などの、体の管理が欠かせないものとなっている。

 

・日本脳炎の予防
日本脳炎の予防法として、ワクチンの接種があげられる。

 

 

 ポリオ(急性灰白髄炎)
口から体の中へと入り込んだポリオウイルスが、血流を介して、消化管から脊髄にある前角細胞へと侵入して感染する。これにより、麻痺が現れる。

 

・ポリオ(急性灰白髄炎)の治療
ポリオの治療法としては、対症療法があげられる。また、麻痺の治療法として、早い段階でのリハビリテーションがあげられる。

 

・ポリオ(急性灰白髄炎)の予防
ポリオの予防法としては、ポリオワクチンの予防接種があげられる。

 

 

 エイズ脳症
エイズウイルス(HIV)の感染によって引き起こされる脳症として、エイズ脳症がある。

 

エイズ(AIDS)の原因となるエイズウイルスは、中枢神経を障害することが多い。エイズを発病した患者では、その患者の抵抗力の低下が目立つようになった段階で、神経症状が現れることがある。

 

また、抵抗力が下がってしまうため、健康なときには感染しなかった微生物に感染してしまう日和見感染を起こす場合がある。

 

 

プリオン病
発病にプリオンタンパクが関係している疾患の一群として、プリオン病がある。プリオン病に属する疾患には、CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)やクールーなどがある。

 

プリオンタンパクには、正常プリオンタンパク変異プリオンタンパク(病的感染性プリオンタンパク)が存在する。

 

 CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)
CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)は、異常なプリオンタンパクが溜め込まれることで起こる疾患である。また、CJDは、中枢神経疾患となっている。

 

CJDでは、大脳皮質が広い範囲で障害される。さらに、脳の萎縮が起こる。また、CJDに侵された硬膜は感染源となる。

 

・CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)の症状
CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)が発病する際、認知症の症状が現れる。そして、視覚異常、知能の低下、感情の変化などの症状が現れ、それぞれ速い速度で進む。

 

さらに、無動無言症が現れる。それから、2年ほどの期間が過ぎた後で死に至る。

 

 ※無動無言症
 目が開いており、外見上は覚醒した状態に見える。しかし、上肢と下肢が動かず、無言であり、外からの刺激に対して意志の発動を起こさない。このような疾患を無動無言症という。