肝炎の分類(急性肝炎・慢性肝炎・劇症肝炎)

肝炎を経過の違いから大きく分ける場合、急性肝炎慢性肝炎とに分類される。また、肝炎の場合、ウイルスが関係して引き起こされるものが多いとされる。急性肝炎による変化は、肝細胞が中心として現れる。

 

急性肝炎
急性肝炎のうち、ウイルスが関係するものとして、A型肝炎B型肝炎C型肝炎などがあげられる。

 

 A型肝炎
A型肝炎は、A型肝炎ウイルスが経口感染することで起こる。約25日の潜伏期間を経て発病する。また、特定の地域で、急に集団発生することがある。

 

A型肝炎ウイルスの感染は、一過性の感染となっている。このことから、慢性肝炎に移り変わることは少ない

 

・A型肝炎の症状
A型肝炎では、全身の倦怠感、発熱、食欲不振、黄疸などの症状が起こる。また、黄疸が起こらない場合もある(無黄疸症)。

 

 B型肝炎
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV、HBウイルス)が原因となって引き起こされる。約60~160日の潜伏期間を経て発病する。急性のB型肝炎は、ほとんど慢性化しない。

 

B型肝炎ウイルスは、唾液や血液などの体液を通して感染する。また、このような水平感染だけでなく、母から子への垂直感染もおこりうる。

 

母親がB型肝炎ウイルスに感染していた場合、産道や胎盤を通して、胎児にB型肝炎ウイルスが感染する。これにより、胎児はB型肝炎ウイルスの保因者(キャリア)になる。

 

B型肝炎の保因者では、肝炎の症状などが現れないままである場合(無症候性キャリア)と、一定期間後に慢性肝炎を起こす場合とがある。

 

・B型肝炎の予防
B型肝炎は、ワクチンの予防接種を受けることで、予防することができる。

 

 C型肝炎
C型肝炎は、C型肝炎ウイルスが感染することで引き起こされる。急性のC型肝炎は、慢性肝炎に移り変わることが多い。また、急性期における自覚症状が少ない傾向にある。

 

・C型肝炎の治療
C型肝炎の治療法として、薬物療法があげられる。

 

 

慢性肝炎
慢性肝炎は、急性肝炎から移行する場合と、そうでない場合とに分けられる。また、慢性肝炎は、肝硬変症へと移行することがある。

 

 慢性肝炎の原因
慢性肝炎の原因は、肝炎ウイルスとなっていることが多い。そのなかでも、C型肝炎ウイルスが占める割合がとくに大きい。

 

 慢性肝炎の症状
慢性肝炎では、主に、肝小葉の辺縁にあって動脈、門脈、胆管が集まっているグリソン鞘での炎症反応が、主として引き起こされる。

 

 C型慢性肝炎
C型慢性肝炎は、長期間放置した場合、肝硬変症を発病する場合がある。また、C型慢性肝炎の場合、そのほとんどが、自覚症状が現れずに経過するとされる。そのため、発見できないまま進行してしまうことが多いとされる。

 

また、C型慢性肝炎が正しく治療されなかった場合、肝硬変症や肝がんが引き起こされることがある。

 

 慢性肝炎の治療
慢性肝炎の治療法として、抗ウイルス薬の使用などの薬物療法があげられる。また、抗ウイルス薬が効かない場合の治療法として、肝細胞が壊される速さを抑える肝庇護療法があげられる。

 

慢性肝炎の治療には、非常に長い期間が必要となる。

 

 

劇症肝炎(電撃性肝炎)
肝炎のうち、経過がとても短く、非常に激しい症状を示すものを劇症肝炎(電撃性肝炎)という。

 

 劇症肝炎の原因
劇症肝炎の場合、そのほとんどが、ウイルスが原因で引き起こされるものである。

 

 劇症肝炎の症状
劇症肝炎での初発時における症状として、発熱、倦怠感(だるさを感じる)などがあげられる。その後に、肝性昏睡が引き起こされる。さらに、劇症肝炎の場合、肝炎の症状が現れた後に約10日以内に死に至ることが多い。

 

劇症肝炎を起こした場合、肝細胞が広い範囲で壊死が生じる。そして、肝臓の機能が大きく低下する。肝細胞の減少によって、肝臓による解毒作用も不十分になる。そのため、血液に含まれるアンモニアの量が増える

 

 劇症肝炎の治療
劇症肝炎の治療法としては、患者の血液を新鮮な血液に置き換える交換輸血などがあげられる。

 

 劇症肝炎の型
劇症肝炎のうち、発病してから肝性脳症が起こるのが10日以内のものが急性型、発病してから肝性脳症が起こるのが11日以降のものが亜急性型となっている。亜急性型の劇症肝炎は、亜急性肝炎ともいわれる。

 

・亜急性肝炎
亜急性肝炎は、予後が悪い。また、肝不全を引き起こして死に至る危険性がある。

 

 ・亜急性肝炎の症状
亜急性肝炎の場合、2~3週間ほど急性肝炎の症状が持続する。その後、消化管での出血の他、腹水、黄疸などの症状が現れる。また亜急性肝炎では、肝細胞の壊死が確認される。