大腸がもつ役割

小腸のうちの回腸から先には、大腸が続いている。大腸では、水分の吸収と便の形成が行われる。

 

大腸は、口腔側に近い場所から順に、盲腸上行結腸横行結腸下行結腸S状結腸直腸の6つの場所に区分される。

 

また、小腸のうちの回腸と大腸のうちの盲腸との間には、回盲弁という弁がある。

 

大腸のうち水分の吸収を行う場所は、上行結腸から横行結腸の上の方の部分までの間であるとされている。また、大腸のうち便の形成を行う場所は、横行結腸の下の方の部分から直腸までの間であるとされている。

 

ちなみに直腸は、薬物などの化学物質の吸収が行われる場所でもある。

 

 胃-回盲部反射〈胃-結腸反射〉
食事などで摂った食べ物が胃の中に入った場合、特別な反射である胃-回盲部反射〈胃-結腸反射〉が生じる。胃-回盲部反射により、すでに体内に入っていた食べ物の未消化物は、盲腸の中へと運ばれる。

 

・食べ物の未消化物の輸送に必要な期間
食事を終えてから約5時間後くらいで、食べ物の未消化物は盲腸へと到着する。そして、そこから約24時間後くらいで、食べ物の未消化物が直腸の中へとたどり着く。

 

このとき、便秘の場合には直腸への到着に何日かかかることがあり、下痢の場合には直腸への到着がより早くなることがある。このように、便の排泄は、その時の体調などによってかなり差ができる。

 

 食物繊維を摂る有効性
食事などで摂る食物繊維が豊富である場合、食べ物の未消化物の発酵や腐敗によって発生した、人体に害のある物質の排除などが可能となる。さらに、人体にとって役立つ細菌が増殖する。

 

そのため、食事などで食物繊維を十分に摂ることは、健康を維持する上で極めて重要である。また、食物繊維を多く含む食材には、野菜・海藻・コンニャクなどがある。これらの食材を、毎日しっかりと摂るようにすることが望ましい。

 

 大腸に住み着く細菌の働き
大腸の中には、いくつかの細菌が住み着いている。それらの細菌は、大腸に入ってきた食べ物の未消化物のうちのいくつかの発酵や腐敗を行う

 

 大腸で形成される便の状態
大腸では便が形成される。食事の内容や体調などによって、形成される便に異なる特徴が現れることがある。

 

・便の臭い
糖質を大量に摂取し、それらが発酵したときに発生するガスはメタンとなっている。このとき発生するメタンは、臭いがしない。

 

また、大量にタンパク質を摂取した場合に、便の臭いを強く感じることがある。これは、必須アミノ酸の1種であるトリプトファンから発生したインドールやスカトールなどによるものである。

 

・便の色
人が排出する便に含まれるものとして、水分・脂質・食物繊維・胆汁色素・ミネラル・老廃物があげられる。

 

便の色は、便に含まれている胆汁色素によって黄色みがかっている。そして、便の色を確認することは、自身の腸内環境を知るための判断基準の1つになる。