骨の構造・組成

骨格
骨格は、大部分が骨でつくられている。人体には200個以上の骨が存在する。骨と骨の間は、関節によってつながっており、それぞれの骨を自由に動かすことができる。

 

骨格には、線維性の結合組織や軟骨も含まれている。これらは、骨と骨をつなげたり、関節に含まれていたりする。

 

骨には、次のような役割がある。

 

 ・筋によって運動を行う

 

 ・身体を支える

 

 ・頭蓋や胸郭などを構成して臓器を守る

 

 ・骨髄で白血球、赤血球、血小板をつくる

 

 ・体の約95%のカルシウムを蓄えるための貯蔵庫になる

 

人体の骨格は、中軸骨格(頭蓋、体幹)と、付属骨格(上肢、下肢)に分類される。

 

骨の構造
骨の表面には、非常に細かい骨質である緻密質になっている。骨の内側は、スポンジ状の海綿質となっている。

 

海綿質と緻密質によって、大きな力であっても、少量の材料で支えることが可能である。また、海綿質は骨稜によって構成されている。骨稜は、力かかかっている方向に対応して配列を行う。

 

長い骨(長骨)にある骨幹は、海綿質が少なくなっている。また、髄腔とよばれる広い空間がある。

 

・骨膜
骨膜は、骨の表面を包む丈夫な結合組織の膜である。骨の厚さは骨膜によってつくられる。また、骨膜は、関節の内側の部分には存在しない。

 

骨膜がもつはたらきは、骨の成長、骨の再生、骨の栄養である。骨膜には、血管と神経が多く含まれている。骨折したときは、骨膜の刺激によって痛みがおこる。

 

骨膜の深い層では、骨の形成、折れた骨の修復、骨を太く成長させるなどが行われる。

 

・骨髄
骨髄は、海綿質にある空間や髄腔を満たしている物質である。

 

骨髄には、赤色骨髄と黄色骨髄の2種類が存在する。赤色骨髄は、血液の主成分である血球をつくる造血組織を含んでおり、血管の大部分に存在する。黄色骨髄は、脂肪を主成分としており、造血機能をもたない。

 

子供の場合、体にある骨髄全体で血液をつくる。そして、成長が進むにつれて黄色骨髄の割合が増加する。成人の場合、赤色骨髄は胸骨、椎骨、骨盤などの体温が高い部分の骨にのみ残る。

 

 骨の形態
人体には、いろんな形の骨が存在している。その骨の形によって、内部構造が少し異なる。そのうち、上肢と下肢を構成する骨は長骨という大きめな骨である。

 

・長骨
長骨の中間は管状になっており、それを骨幹という。骨幹にはかなり厚めの緻密質によって骨壁がつくられている。骨壁の内側には広い髄腔が存在する。

 

長骨の両端の関節部分を骨端という。骨端には海綿質があり、薄い緻密質によっておおわれている。骨端の海綿質には、骨端の軟骨のなごりである骨端線が残っている。

 

骨の組成
骨の大部分を構成するのは、リン酸カルシウムになっており、残りは他の無機物や、膠原線維などの有機物、水などで構成されている。子供の骨は、成人の骨に比べて折れやすい。しかし、成人の骨よりも子供の骨の方が有機物が多く、治りやすい性質をもつ。

 

上皮小体ホルモンは、骨のカルシウムを血液に送り込むはたらきをもつ。上皮小体ホルモンのこのはたらきは、甲状腺から分泌されるカルシトニンによって抑えられる。

 

骨に関係する老化現象の1つとして、骨質が減って骨が弱くなってしまう骨粗しょう症が存在する。骨粗しょう症は運動をあまり行っていない60代、70代の女性に多くみられる。骨粗しょう症では、ちょっとした刺激で骨折しやすくなり、大腿骨や脊椎骨におこりやすい。

 

 骨組織
骨組織は、特別な結合組織である。骨組織では、つねに再生と吸収がおこっており、骨が新しく変えられている。骨組織は、歯のエナメル質の次に硬い。

 

厚さ3μmほどの層板が木の年輪のように重なった小円柱が集まって、骨組織を形成している。骨組織を構成する小円柱の中心は、ハバース菅という腔所になっている。このハバース菅には、血管が通っている。

 

骨の発生
骨を発生の仕方で分けると、置換骨、付加骨の2種類になる。

 

・置換骨
置換骨の場合は、最初に軟骨でできた見本(骨端軟骨)がつくられ、それらが骨に置き換わっていく。体の骨のほとんどは、この方法でつくられる。

 

・付加骨
付加骨の場合は、結合組織の中に骨化点というものがつくられ、そこから骨が発生していく。鎖骨や頭蓋の表面近くの骨が、この方法でつくられる。