糖質の偏食によって起こる脳の栄養不足とは

現代は、飽食の時代といわれています。ですが、しっかりと食事を摂っていたとしても、糖質に偏った食生活を送っていると、脳に必要な栄養を十分に補給することができません。さらに、糖質の過剰摂取によって、さまざまな異常が引き起こされるのです。

 

ここでは、糖質の偏食によって起こる異常のうち、脳に関係するものについて述べていきます。

 

糖質の偏食による脳への悪影響

ブドウ糖は、脳のエネルギー源の1つになっています。そのため、糖質が多い食生活は、一見すると脳には悪影響がないように思われがちです。しかし、糖質に偏った食生活では、むしろ、脳にブドウ糖を供給することができないのです。

 

現代にあふれかえっている、白米や砂糖などの精製済みの糖質を摂ると、血糖値は短時間で急激に上昇してしまいます。その結果、血糖値を下げる作用をもつインスリンが膵臓(すいぞう)から分泌され、今度は急激に血糖値が下げられます。

 

すると今度は、急激な血糖値の降下に脳が危険を感じ、血糖値を上昇させるために、脳内でアドレナリンやノルアドレナリンというホルモンを分泌します。

 

その結果、イライラして落ち着きがなくなったり、不安な気持ちに襲われたりしてしまうのです。

 

また、糖質に偏った食生活では、脳そのものや脳の神経伝達物質の原料となっているタンパク質の量が十分に補えていない可能性が高いです。

 

タンパク質を十分に摂れていないと、脳の活動が鈍くなり、判断力や集中力が低下したり、つねにいらだちを感じたりするようになってしまうのです。

 

さらに、精神がに不安定になることにより、砂糖などの甘いものを摂りたいという欲求が高まってしまいます。このときに甘いものを摂ってしまうと、再び血糖値が急激に変動し、さらに精神が不安定になってしまうのです。

 

脳に異常が起こることで、精神面以外にも、頭痛・腰痛・下痢・便秘・肌荒れなど、さまざまな異常が起こってしまいます。これらの症状に気づいた場合には、ぜひとも、食生活を見直すことを検討してみてください。

 

糖質をできるだけ減らし、タンパク質などの脳や体に必要な栄養素をしっかりと補う食生活に変えることができれば、頭の回転が良くなり、いろいろな物事に対応しやすくなるのです。

 

脳はケトン体をエネルギー源にできる

また脳は、ブドウ糖以外にも、脂肪酸の分解によって発生するケトン体をエネルギー源にできます。糖質を控えめにする食生活では、エネルギー源となるケトン体のもととなる脂質の摂取も十分に行う必要があります。

 

脂質は太りそうだからと、十分に脂質を摂らなかった場合、それによって栄養不足を起こし、体調を崩す恐れがあるのです。

 

現代では、糖質を多く含む食品を手軽に摂ることができ、糖質を中心とする食生活に偏ってしまいがちです。ですが、糖質に偏った食生活では、太りやすくなるだけでなく、脳に異常が起こってしまいます。

 

糖質を中心とする食生活に慣れていると、その食生活を変えることはなかなか難しいのではないかと思います。

 

そのため、少しずつ糖質を多く含むものの量を減らし、減らした分だけタンパク質や脂質をしっかりと補うように変えていくのが良いでしょう。

 

また、糖質を制限する食生活では、糖質を含むもの以外の栄養素の他、食物繊維や水分なども十分に摂ることが必要です。できるところから取り入れつつ、正しい方法で実践し、脳や体を元気にしていきましょう。