人間の主なエネルギー源は脂質である

人間が使うエネルギー源には、糖質と脂質の2つがあげられます。そしてこの2つのうち、主なエネルギー源になるのは、糖質ではなく脂質です。このように考えることができる理由について、いくつか述べていきます。

 

エネルギーを生み出すための主な材料は脂質である

細胞の中には、ミトコンドリアというものが存在します。ミトコンドリアの中では、細胞が活動するためのエネルギーを生み出す仕組みであるクエン酸回路というものが働いています。

 

クエン酸回路は、ブドウ糖から生じるオキサロ酢酸という物質を出発点として働きます。そして、エネルギーを生み出すための主な材料として、脂肪が使われます。

 

これらによって、細胞が働くのに必要となるエネルギーが、ミトコンドリアによって取り出されるのです。つまり、ブドウ糖は、仕組みを動かすためのきっかけとしての役割を果たし、脂肪は材料としての役割を果たしているわけです。

 

脂肪の方が、グリコーゲンよりも体内に多く存在する

私たち人間の体内には、脂肪とグリコーゲンの2つがエネルギー源として蓄えられています。

 

グリコーゲンは、ブドウ糖が集まって構成されているものです。そして、脂肪の方が、グリコーゲンに比べてはるかに大きいエネルギーをもっているのです。

 

実際に、脂肪をエネルギーとする場合には、1~2ヶ月ほどの間であれば水だけでも生きていけるとされています。

 

その一方で、グリコーゲンだけをエネルギーとして使って運動する場合には、1~2時間ほどの短い時間でエネルギー切れを起こしてしまうのです。

 

これらのことから、人間の主なエネルギーは、糖質ではなく脂質なのではないかといえるわけです。

 

脂肪とグリコーゲンの使い道の違い

脂肪の使い道とグリコーゲンの使い道には、それぞれ異なる点があります。

 

人間の体のうちの大半の部分において、ブドウ糖を使うのは、血糖値が高まってインスリンが追加で分泌された時や、運動時となっています。そして、それら以外の時には、脂肪が使われているのです。

 

このことから、グリコーゲンは普段から使うエネルギーではなく、脂肪こそが人間にとっての主なエネルギーであるといえます。そしてこのことが、脂肪の方がグリコーゲンよりもずっと多く蓄えることができる理由なのではないかと思います。

 

ブドウ糖の役割と脂肪の役割

上記にいくつかあげたように、ブドウ糖は脂肪に火を着けるための着火装置の役割と、非常事態におけるエネルギー源としての役割をもっています。そして脂肪は、生きていくための主なエネルギー源としての役割をもっているわけです。

 

また、体内の脂質の一部は、ケトン体というものになり、脳や筋肉などの様々な組織のエネルギーになります。そして、体内で余った脂肪やたんぱく質を材料として糖質をつくることができ(糖新生)、必要とする分まで十分に補うことができます。

 

そのため、本来であれば、わざわざ体の外から糖質を摂り入れる必要性はないのです。

 

それなのに、糖質を摂る割合が高い状態では、脂質をエネルギーとする仕組みが十分に働けなくなり、糖質をエネルギーとする仕組みばかりに異常に大きな負担がかかってしまうことになるのです。

 

そのため、本来の正しい状態にするためには、糖質を摂り過ぎている状態から抜け出し、タンパク質と脂質を摂る割合を大きくすることが大切です。