生体に関わる元素・有機化合物
人の体重のうち、約60%を占めるのは水分である。残りの約40%は、酸素、炭素、水素、窒素などの元素によって占められている。
化合物のうち、炭素を主な存在とし、そこに酸素、水素、窒素などが結合して構成されているものを有機化合物という。
元素と化合物
元素には、酸素、炭素、水素など、さまざまなものが存在する。それらの元素は、それぞれ決まった記号で表される。これを元素記号という。たとえば、酸素の元素記号は「O」であり、炭素では「C」、水素では「H」となる。
化合物は、元素が複数集まって結合することで構成される。つくられた化合物は、元素記号を組み合わせることで表現することができる。
たとえば、水素2つと酸素1つが組み合わさることで、水がつくられる。水を元素記号の組み合わせで表現すると、水素「H」2つと酸素「O」1つが組み合わさって、「H2O」と表現することができる。
このようにして、元素記号で化合物を表現したものを、その化合物の分子式という。
原子価
原子にある、他の原子と結合するための腕になる部分の数を原子価という。炭素原子の原子価は4となっている。そのため、炭素原子は、4つの原子と結合できることになる。
官能基
有機化合物には、複数の原子が集まっている部分がある。それを官能基という。それぞれの官能基ごとに、さまざまな性質をもっている。主な官能基を以下に示す。
・アルデヒド基 : −CHO
・ケトン基 :
・水酸基 : −OH
・アミノ基 : −NH2
・カルボキシル基 : −COOH
生体成分と水との関係
生体に含まれている成分には、水に溶け込んでいるものが数多く存在する。
水分子
水を構成するのは、水素原子2つと酸素原子1つである。これらが結合することで、水(水分子)ができる。
水分子の形は、四面体になっている。水分子の四面体のうちの2つの角は、2つある水素原子がそれぞれ占めている。残りの2つの角は、酸素原子に含まれている、非共有電子対というもので占められている。
※非共有電子対
特定の原子が別の原子と結合する際に共有されなかった電子が、2つで対となっているもの。
水分子に存在する酸素は、電子を引きつける力が水素よりも強い。これにより、2つの原子で1組となった電子を共有する結合である共有結合に利用される電子の分布は、水分子内で均一な状態にはならない。
上記のため、水分子に含まれる酸素原子は、負の電荷を少しもつ。そして、水分子に含まれる水素原子は、正の電荷を少しもつ。
水素結合
水分子に存在する酸素原子と水素原子は、それぞれ電荷をもつ。これによって、水分子1つ当たりに含まれる水素原子と、他の水分子に含まれる酸素原子との間では、静電引力を通した結合がつくられる。この結合を水素結合という。
通常の共有結合に比べて、水素結合における結合の強さはとても弱い。