脂質・コレステロール・核酸の代謝
脂質の代謝
食べ物に含まれている脂質のほぼすべてが、トリグリセリド(中性脂肪)の状態で存在する。
トリグリセリドのほとんどは、リパーゼによって脂肪酸とグリセリンとに分解される。そして、小腸の絨毛から吸収される。一部のトリグリセリドは、分解されないまま吸収される。
吸収された脂肪酸とグリセリンは、トリグリセリドに戻る。トリグリセリドは、リンパ管である中心乳び腔に入る。そして、胸管を通って静脈に送られる。
この進路の途中、トリグリセリドにコレステロール、タンパク質、リン脂質がそれぞれ結合する。それによって、カイロミクロン(キロミクロン)という粒子の状態になる。
カイロミクロン、貯蔵脂肪
カイロミクロンになったトリグリセリド(中性脂肪)は、血流にのって肝臓や脂肪細胞へと送られる。そして、その場所に沈着を起こす。
肝臓や脂肪細胞に沈着したトリグリセリドのことを、貯蔵脂肪という。貯蔵脂肪は、体内に摂り入れたものに含まれる脂肪が、そのままの状態で溜め込まれたものである。
貯蔵脂肪が多すぎると、肥満をまねく。また、余分な糖質もトリグリセリドとして溜まることになる。そのため、糖質の摂りすぎも肥満のリスクを高める。
脂肪肝
肝臓の全体のうち、脂肪が占める割合が10%以上になっている状態を、脂肪肝という。健康な肝臓であれば、脂肪が占める割合は1~4%にとどまる。
糖尿病や肥満などの場合、それらが原因となって脂肪肝が起こる。また、脂肪肝の原因となるものを、取り除かずに放置すると、肝硬変を起こす場合がある。
肝臓での脂質の代謝
貯蔵脂肪が必要になった場合、貯蔵脂肪は肝臓に送られる。肝臓に送られた貯蔵脂肪は、肝臓の中でβ酸化を受けてアセチルCoAとなる。
アセチルCoAは、糖質代謝の経路でもあるクエン酸回路へと合流する。また、アセチルCoAの一部は、エネルギー源として使われるケトン体に変化する。
コレステロールの代謝
食べ物に含まれているコレステロールは、小腸によって吸収される。吸収されたコレステロールは、リンパ管に入り、さらに血液へと送られる。
血液に送られたコレステロールのうち、半分ほどが肝臓で酸化され、胆汁酸となる。また、胆汁酸は胆汁の構成成分である。また、血液に含まれるコレステロールは、ステロイドホルモンや、細胞膜などの構成成分としても使われる。
正常な状態の血液には、約130~220mg/デシリットルのコレステロールが含まれている。また、血液に含まれるコレステロールの状態は、全体の約3/4がエステルの状態、残りが遊離状態である。
核酸の代謝
核酸には、RNA(リボ核酸)とDNA(デオキシリボ核酸)がある。RNAとDNAは、それぞれ次の物質3つずつで構成されている。
・RNA … リボース(五炭糖の1種)、リン酸、プリン塩基かピリミジン塩基のどちらか
・DNA … デオキシリボース(五炭糖の1種)、リン酸、プリン塩基かピリミジン塩基どちらか
核酸が分解された場合、糖質、リン酸、塩基の3つに分かれる。塩基のなかで、アデニンとグアニンの2つはプリン体である。プリン体は、最終的に尿酸に変化して尿へと排出される。
尿酸は、水に溶けにくい性質をもつ。そのため、尿酸が血液に多く含まれている場合、尿酸が尿酸ナトリウム結晶へと変わる。
発生した尿酸ナトリウム結晶は、関節に存在する腔所(関節腔)に溜まる。それにより、炎症や激痛などが引き起こされる。これが痛風である。