順応、色覚、眼球に関係する反射、外眼筋が行う眼球運動の調節

順応
眼が明るさや暗さに慣れることを、順応という。

 

 明順応
視細胞の1つである杆体(かんたい)には、紫の色素をもつ感光物質であるロドプシンが存在する。ロドプシンは、光があたることで分解され、色落ちする。

 

それにより、真っ暗な部屋にいるときに急に部屋を明るくすると、一時的に目がまぶしさを感じる。そして、しばらくするとまぶしさを感じなくなってくる。これを、明順応という。

 

また、ロドプシンを再生させる栄養素として、ビタミンAがある。

 

 暗順応
暗い場所にいる場合、ロドプシンの再生が起こる。再生されたロドプシンは、杆体に集合する。その結果、ロドプシンの作用が敏感な状態になる。

 

上記により、部屋の明かり急に消して暗くすると、一時的に周りの景色を認識できなくなるが、少しずつ周りの景色が見えるようになってくる。これを、暗順応という。

 

・夜盲症
暗い場所にいるとき、周りの景色が見えるようにならない状態を、夜盲症という。これは、ビタミンAの不足などによって、ロドプシンを再生させる力が落ちることで引き起こされる。

 

 

色覚
日光には、違う波長をもつさまざまな光線が存在する。これらの光線のうち、波長が400~800nm(ナノメートル)の光線であれば、人の網膜で感じ取ることができる。

 

また、人の網膜で感じる光線の色は、波長が短いものから順に、(すみれ)、(オレンジ色)、になっている。

 

 不可視光線
波長が400nmより短い光線や、800nmより長い光線の場合、人の網膜で感知できない。このように、網膜で感じ取ることができない光線のことを、不可視光線という。

 

波長が400nmより短い光線のことを、紫外線という。また、波長が800nmより長い光線のことを、赤外線という。

 

 視細胞の色物質、赤、緑、青
視細胞の1つに錐体がある。錐体には、のうち、1色の色物質がある。

 

赤、緑、青の3つの色は、それぞれ基本色とされている。これらの基本色の組み合わせによって、その他のすべての色がつくられる。

 

そのため、錐体で発生する赤、緑、青の基本色の感覚と、それらの組み合わせによって、色の感覚がつくられているという説がある。この説を、色覚の三色説という。

 

・色覚異常
錐体に異常が起こることで、色が見分けられなくなることを、色覚異常という。多くの色覚異常は、先天性のものになっている。

 

色覚異常は、異常三色型色覚(色弱)二色型色覚(部分色盲)一式型色盲(全色盲)がある。

 

 ・異常三色型色覚(色弱)
赤・緑・青の3色の色物質のうち、感じ取りにくい色がある状態を、異常三色型色覚(色弱)という。

 

異常三色型色覚のうち、赤が感じにくくなるものを、第一色弱(赤色弱)という。また、緑が感じにくくなるものを、第二色弱(緑色弱)という。

 

 ・二色型色覚(部分色盲)
3色の色物質のうち、1色がまったく感じなくなる状態を、二色型色覚(部分色盲)という。

 

二色型色覚のうち、赤を感じなくなったものを、第一色盲(赤色盲)という。緑を感じなくなったものを、第二色盲(緑色盲)という。青を感じなくなったものを、第三色盲(青色盲)という。

 

 ・一式型色盲(全色盲)
完全に錐体の機能が失われるものを、一式型色盲(全色盲)という。この状態になると、色をいっさい感じることができない。

 

 

眼球に関係する反射

 

 対光反射
眼球には、瞳孔を囲むように存在する虹彩という膜がある。虹彩には、瞳孔のサイズを調節する瞳孔括約筋瞳好散大筋が存在する。

 

上記の筋により、瞳孔を通して、網膜が光を受けた場合に、瞳孔が縮められる。逆に、暗いところに移動したり、明かりが消されたりした場合、瞳孔が広げられる。これらのことを、対光反射という。

 

 角膜反射
角膜にものが触れた場合に、反射的に眼が閉じられることを、角膜反射という。

 

 眼瞼(がんけん)反射
眼球に近い位置に、急にものが近づいてきた場合に、反射的に眼瞼(がんけん)が閉じる。この反射のことを、眼瞼反射という。

 

 輻輳(ふくそう)反射(近距離反射)
近くにあるものをじっくりと見る(注視する)場合、両方の目の視線が内側に寄る。そして、瞳孔が縮まる。この反射のことを、輻輳反射(近距離反射)という。

 

 

外眼筋が行う眼球運動の調節
眼球は、6対の外眼筋という筋をもつ。これらの筋は、横紋筋で構成されている。それぞれの外眼筋によって、眼球運動の調節が行われている。

 

外眼筋の収縮が正常に調節されていれば、視線を合わせたものに焦点が合わさる。そのため、見たものが二重に見えることはない。

 

 複視
眼球運動を調節する外眼筋に障害が起こり、二重にものが見えることを複視という。

 

 共同偏視
脳出血が起こった場合に、出血がある方向に両方の眼が向くことがある。このことを、共同偏視という。