骨格筋の特性・収縮(単収縮、強縮)

骨格筋の特性
骨格筋には、興奮性収縮性弾性伝導性の4つの特性がある。

 

 興奮性
刺激(興奮)が骨格筋に伝わると、その刺激に反応した骨格筋が収縮を起こす。これが、骨格筋の興奮性である。

 

 収縮性
骨格筋の筋線維、または骨格筋そのものを刺激すると、筋原線維の働きによって骨格筋が収縮する。これが、骨格筋の収縮性である。

 

 弾性
骨格筋は、収縮だけでなく引き伸ばすことも可能である。引き伸ばされた骨格筋は、力を抜くことでもとの状態へと戻る。これが、骨格筋の弾性である。

 

 伝導性
刺激が、筋細胞(筋線維)のうちのどこか一ケ所に伝えられると、その筋細胞(筋線維)の全体まで刺激による興奮が伝わる。これが、骨格筋の伝導性である。

 

骨格筋の収縮とその種類
大脳にある運動中枢から出た命令(興奮)が、神経路を通して末梢にある骨格筋に伝わる。それによって、骨格筋が収縮を起こす。また、骨格筋の収縮として、単収縮(れん縮)、強縮がある。

 

・単収縮(れん縮)
1回だけの刺激によって起こる収縮のことを、単収縮(れん縮)という。

 

骨格筋が最大限に収縮すると、その骨格筋は徐々に弛緩し、もとの状態に戻る。筋が収縮してから弛緩してもとに戻るまでにかかる時間を、単収縮時間という。

 

また、刺激が骨格筋に伝えられたとき、すぐに単収縮が起こるわけではない。刺激が伝わってから骨格筋が単収縮を起こすまでには、かなり短い時間(0.01秒以内)だが潜伏時間(潜時)がある。

 

・強縮
骨格筋を刺激することを何回かくり返すことで、骨格筋の収縮がくり返し続ける。それによって、徐々に骨格筋の収縮が大きくなる。このような収縮のことを、強縮という。

 

強縮の例としては、重い物を持ち上げているときなどで、腕の骨格筋が収縮した状態を保つのが強縮にあてはまる。

 

 筋の疲労
筋への刺激が長く与えられ続けると、次に筋が収縮する際に、その筋の収縮力が弱くなり、収縮できなくなる場合がある。これが、筋の疲労である。

 

 全か無の法則
筋が収縮を起こすには、その筋に伝えられる刺激に一定の強さがあり、さらにその刺激が一定の期間持続することが必要である。

 

収縮に必要な強さをもたない刺激が、筋線維に伝わったとしても、その筋線維は興奮を示さない。逆に、収縮に必要な強さをもつ刺激が、筋線維に伝わった場合には、その筋線維の収縮が限界まで起こる。

 

しかし、収縮に必要な強さをもつ刺激がさらに強くなったとしても、それによって、その筋線維の収縮の大きさが変わることはない。こうした法則のことを、全か無の法則という。

 

・骨格筋への刺激と収縮の強さ
与えられる刺激が、筋線維の1つではなく骨格筋の1つに伝わるとき、収縮力が刺激の強さによって増える場合がある。

 

この場合、強い刺激によって、より広い範囲の筋線維に対して同時に刺激が伝わり、より多くの筋線維が同時に収縮する。それにより、その骨格筋の収縮力が全体的に強まることになる。

 

このように、筋線維そのものの収縮力が強くなったわけではないので、全か無の法則に外れたことにはならない。