肺気量、肺活量・残気量、肺胞換気量

こちらのページでは、「肺気量」「肺活量・残気量」「肺胞換気量」について、それぞれ解説していく。

肺の中に入っている空気の量を、肺気量という。

肺の状態や呼吸の方法によって、使われる空気の量が違う。また、肺胞でのガス交換には、肺気量のすべてが使われるわけではない。

1回の呼吸周期ごとに吸入、もしくは呼出されるガスの量を、1回換気量という。

安静時に吸息が終わったところから、さらに吸うことができる最大のガスの量を、予備吸気量という。

安静時に呼息が終わったところから、さらに吐くことができる最大のガスの量を、予備呼気量という。

安静時に空気を吐き出した状態で、吸い込むことができる最大のガスの量を、深吸気量という。

最大まで空気を吸いこんでから、吐き出すことができる最大のガスの量を、肺活量という。

最大まで空気を吐き出し終えたとき、肺の中に残るガスの量を、残気量という。

安静時に空気を吐き出し終えたとき、肺の中に残るガスの量を、機能的残気量という。

最大まで空気を吸い込んだ場合に、肺の中にあるすべてのガスの量を、全肺気量という。

空気を最大まで吸い込み、その後で吐き出すことができる最大のガスの量を、肺活量という。肺活量は、以下の2つの式のどちらでも求めることができる。

　※予備肺気量　＋　1回肺気量　＝　深呼気量

日本人の肺活量の平均値は、成人男性の場合に約3.000～4.000ミリリットル、成人女性の場合に約2.000～3.000ミリリットルとなっている。また、運動選手の肺活量は、平均値よりも高めである場合が多い。

全肺気量に対する残気量の割合のことを、残気率という。健康な成人の場合、残気率の値は20～35％の間におさまっている。

残気率の値は、全肺気量が減ると増加する。また、残気量が増えた場合も、残気率の値は増加する。残気率が増えている場合、肺はふくらんだ状態になっている。

最大まで肺に空気を吸い込んだ後、肺の空気をなるべく早く吐き出し終えたときの肺活量を、努力肺活量という。

努力肺活量のうち、空気を吐き出し始めて、最初の1秒間で吐き出した空気の量を1秒量という。また、努力肺活量に対する1秒量の割合のことを1秒率という。呼吸機能を検査する場合などで、これらの値が役立つ。

呼吸1回あたりでガス交換に使われる空気の量を、肺胞換気量という。

ガス交換が行われるのは、肺胞の中だけである。そのため、気管や気管支などでは、ガスが通るだけでガス交換は行われない。吸い込んだ空気の何割かは、肺胞までたどり着かずに外に排出される。

上記のような、ガス交換に関係しない場所の容積を死腔という。また、肺胞換気量は、以下の式で求めることができる。

肺胞換気量　＝　1回換気量　－　死腔量

1分間の換気量のことを、分時換気量という。分時換気量は、以下の式で求めることができる。

分時換気量　＝　1回換気量　×　呼吸数

1分間の肺胞換気量のことを、分時肺胞換気量という。分時肺胞換気量は、以下の式で求めることができる。

分時肺胞換気量　＝　（　1回換気量　－　死腔量　）　×　呼吸数