神経細胞(ニューロン)、活動電位による伝導
こちらのページでは、「神経細胞(ニューロン)の興奮」「活動電位の伝導」「シナプスでの伝達」について、それぞれ解説していく。
神経細胞(ニューロン)の興奮
膜電位
体のすべての細胞は、細胞内が負(マイナス)の電位になっており、細胞外が正(プラス)の電位になっている。このように、細胞をおおっている細胞膜の内側と外側とでは電位差が生じている。この電位差のことを、膜電位という。
細胞内液と、血液などの細胞外液とを比べた場合、主に以下のような違いがみられる。
・ナトリウムイオン(Na+)の濃度は、細胞内液よりも細胞外液の方が高い。
・カリウムイオン(K+)の濃度は、細胞外液よりも細胞内液の方が高い。
細胞膜には、カリウムイオンを細胞内に送り、ナトリウムイオンを細胞外に送るNa+-K+ポンプ(ナトリウム‐カリウムポンプ)がある。
Na+-K+ポンプ(ナトリウム‐カリウムポンプ)がそれぞれのイオンを能動輸送で送る働きにより、ナトリウムイオンとカリウムイオンのそれぞれのイオンの濃度の差が維持されている。
上記により、細胞膜の内側と外側との膜電位を保つことができている。
静止電位
静止した状態(興奮がない状態)であっても、細胞膜の内側と外側とで、-70~-80mVの電位差がみられる。この電位差のことを、静止電位という。
活動電位
刺激が神経細胞(ニューロン)に与えられ、それに応じて細胞が興奮した場合、静止電位がある程度下がる。すると、細胞膜がナトリウムイオンを通しやすい状態になる(透過性がよくなる)。
細胞の内側にナトリウムイオンが移った場合、負(マイナス)から正(プラス)へと細胞内の電位が変化する。このようにして起こる膜電位の変化のことを、活動電位という。
活動電位が起こった後、膜の状態が変化する前に戻る。そして、膜電位が静止電位の状態へと戻る。
興奮
活動電位が、膜電位の変化によって起こることを、興奮という。
活動電位の伝導
細胞の外側とその表面は正(プラス)の電位になっている。そして、細胞の内側は負(マイナス)の電位になっている。これが、細胞膜の静止電位である。
●局所電流、脱分極
活動電位の発生は、細胞膜が興奮した部分で起こる。活動電位が発生した部分は、細胞の内側が正(プラス)に変わり、細胞の外側とその表面が負(マイナス)に変わる。
これにより、興奮していない部分と、興奮して活動電位が発生した部分との間には、電位差が発生する。
すると、細胞外液では、興奮していない部分から興奮している部分という向きで電流が通る。また、細胞の内側では、興奮している部分から興奮していない部分という向きで電流が通る。このことを、局所電流という。
局所電流は、興奮した部分に隣接する興奮していない部分の膜に進む。そして、その膜の部分の外側をマイナスの電位に変え、内側をプラスの電位に変える(これを脱分極という)。
上記により、細胞膜での興奮していなかった部分に活動電位が生じる。そこからさらに、隣りにある興奮していない部分の方へと、次々に興奮が伝わっていく。
神経の興奮・シナプスの伝達
神経線維、求心性神経、遠心性神経
刺激を受けた神経線維は、興奮を起こす。その興奮は、神経線維によって他のところへと伝えられる。
末梢神経系のうち、感覚と運動を担当するものを体性神経系という。体性神経系には、求心性神経(知覚性神経)と遠心性神経(運動性神経)がある。
求心性神経は、末梢から中枢へと興奮を伝えている。遠心性神経は、中枢から末梢へと興奮を伝えている。
シナプス
神経細胞の軸索の末端の部分は、その隣りにある神経細胞(ニューロン)につながっている。このつながっている場所のことを、シナプスという。
細胞膜によって、細胞は包みこまれている。その細胞のどこか1部分に興奮がおこると、その細胞全体に興奮が伝導される。このとき、興奮した細胞のとなりにある細胞までは興奮を起こさない。
しかし、上記とは例外に、細胞1つあたりの興奮が隣りの細胞を興奮させる場所がある。それが、細胞と細胞とが接しており、興奮を伝達する場所となっているシナプスである。
シナプスでの伝達
シナプスにおける興奮の伝達は、以下のように行なわれる。
1.伝達物質が、神経線維の末端から出て、伝達物質を受ける細胞の細胞膜であるシナプス後膜に到着する。
2.そして、ナトリウムイオンやカリウムイオンなどのイオンチャネルが開く。
3.興奮しているシナプス後膜と、その次にある興奮していない細胞膜との間で、局所電流が発生する。
4.その結果、興奮が細胞に伝達される。
神経痛・関節痛にお悩みの方におすすめの医薬品:リョウシンJV錠