排便、腸内の発酵・腐敗

便ができる仕組み、便の構成
食事で摂った内容物の栄養素のほとんどは、小腸で吸収される。小腸から大腸に運ばれた内容物の水分は、大腸で吸収される。さらに、大腸で内容物が便となり、便が直腸へと運ばれる。

 

便の全体の70~80%は水によって構成されている。また、水の他に便に含まれているものには、消化されないものである食物繊維、腸内細菌、無機塩類などがある。

 

排便
大腸の内容物は、大腸の蠕動運動によって直腸に移動する。直腸に便が溜まることで、直腸の内圧が上がる。そして、直腸の内圧が40~50mmHg以上になった場合に、便意を感じる。

 

直腸内圧がある程度の大きさ(40~50mmHg以上)に達すると、脊髄の排便中枢に対して、副交感神経の枝である骨髄神経が神経インパルスを伝える。

 

すると、排便反射が起こり、副交感神経性である骨盤神経が興奮を起こす。そして、内肛門括約筋が弛緩を起こし、直腸が収縮を起こす。

 

便意を感じたとしても、肛門にある外肛門筋は随意的(意思的)に動かすことができる。そのため、自分の意思で、排便の我慢(がまん)ができる。

 

また、排便を我慢できるのは、直腸の内圧が約55mmHg以内の場合である。

 

 

腸内の発酵・腐敗
小腸に入った食べ物のうち、小腸で消化と吸収がされないまま大腸に入るものもある。それらは、大腸に存在する細菌によって分解が行われる。このときの分解では、ガスが生じる。

 

小腸で消化できないセルロースが大腸に入った場合、腸内細菌の働きによって、セルロースが分解されると、水素、乳酸、二酸化炭素、メタンなどが生じる。

 

上記のように、腸内の細菌によって分解されてガスを生じることが、腸内での発酵である。また、消化と吸収を受けなかったタンパク質が、腸内細菌によって分解されてガスが生じることを腐敗という。

 

 便秘
排便の回数が、大腸での便の通過が遅くなることで少なくなると、排便のときに苦痛を感じる状態になる。この状態が便秘である。

 

便秘には、大腸性便秘直張性便秘(排便困難症)とが存在する。これらの便秘の状態から回復するためには、食生活の見直しや、排便の習慣を正しくもつことが重要である。

 

・大腸性便秘
大腸性便秘のうち主なものには、弛緩性便秘けいれん性便秘があげられる。

 

 ・弛緩性便秘
弛緩性便秘は、大腸性便秘のなかでも比較的起こりやすい便秘である。弛緩性便秘は、腸管の運動が弱くなったり、緊張が低下したりした場合に起こる。

 

食事の量が少ない人、高齢者、多産婦などの場合に、弛緩性便秘が現れる。

 

・けいれん性便秘
けいれん性便秘は、腸管の過度な運動、もしくは腸管が過度に緊張する場合に起こる。けいれん性便秘のときに排出される便は、硬くて小さめである。

 

・直腸性便秘(排便困難症)
便意を感じた場合に、排便を我慢(がまん)してしまうことによって、直腸性便秘が引き起こされる。