排尿障害(排尿困難、頻尿、尿失禁)、尿の構成

排尿障害
排尿を行う器官の機能などに異常が発生している場合、排尿障害が引き起こされる。排尿障害には、さまざまなものがある。

 

 排尿困難
排尿時間が長くなったり、排尿が遅く始まったり、尿が細く流れるようになったりした場合を、それぞれ排尿困難という。排尿困難は、主に以下のような場合に起こる。

 

  • 膀胱と尿道の支配を行う神経の障害が起こった場合
  • 尿道結石や前立腺肥大症などで尿の排泄が障害される場合

 

・尿閉
特定の原因によって、膀胱に溜まった尿を排泄できなくなることを、尿閉という。排尿困難が悪化したなった場合、尿閉が起こることがある。また、尿閉は急に引き起こされる場合もある。

 

・無尿
尿が腎障害によってつくられなくなることで、膀胱に尿が溜まらなくなることを無尿という。無尿と尿閉とは違うものである。

 

 頻尿
1日あたり、4~8回の排尿回数となるのが正常な状態である。この排尿回数が、異常に多くなった状態を頻尿という。頻尿は、膀胱炎や慢性腎不全などの場合に現れる。

 

 尿失禁
無意識(不随意)のうちに排尿が起こることを、尿失禁という。

 

3歳までの乳幼児の場合、外尿道括約筋をコントロールする機能が未発達である。そのため、健康な状態であっても、膀胱に一定の尿が溜まったときに、排尿反射で尿失禁してしまう。

 

尿失禁は、排尿反射が抑えられない場合、尿が膀胱に溜まりすぎている場合などでも起こることがある。

 

・切迫性尿失禁
トイレに間に合わずに尿失禁を起こすことを、切迫性尿失禁という。これは、頻尿や膀胱炎の場合に起こることがある。

 

・腹圧性尿失禁
成人の場合、運動、せき、笑い、くしゃみなどによって、腹圧が上がったときに、尿失禁が起こることがある。この尿失禁のことを、腹圧性尿失禁という。

 

尿の構成

 

 尿の比重
尿の比重は、1.003~1.030となっている。尿に含まれる固形物質は、ほぼ一定の状態になっている。これにより、乏尿の場合には、尿の比重が上昇する。一方、多尿の場合には、尿の比重が低下する。

 

 尿の成分
尿のうち、約95%が水であり、残りの約5%が固形物になっている。尿に含まれる固形物のうち、その半分を尿素が占めている。

 

  • 尿 … 水:約95%、固形物:約5%
  • 固形物 … 有機物、無機物
    • 有機物 … 尿素、尿酸、馬尿酸、クレアチニン
    • 無機物 … 塩素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニア、リン酸塩、硫酸塩

      (※ 無機物の合計の半分以上は、塩素とナトリウムが占めている)

  • 1日量 … 500~2.000ミリリットル

 

尿に含まれるのが異常である成分として、糖質、タンパク質、赤血球、白血球、胆汁色素、アセトン体などがあげられる。

 

 尿のpH
尿のpHは、弱酸性(pH5~7)になるのが正常な状態である。肉を食べた場合、タンパク質の分解による尿酸などにより、尿が酸性になる。野菜を食べた場合は、尿がアルカリ性になる。

 

 尿の色
尿の色は黄色に近い。また、尿の色はウロビリンウロクロムによるものである。