ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、ライノウイルス

ポリオウイルス
ポリオウイルスは、RNAをもつウイルスである。

 

 ポリオウイルスの感染経路
ポリオウイルスの感染経路は、主に経口感染である。また、ポリオを発病して1週間前後の患者では、口腔や咽頭の分泌物にウイルスが存在する。そのため、飛沫感染を起こす危険性がある。

 

 ポリオウイルスの病原性
体内に侵入したポリオウイルスは、口腔、喉頭、腸管などの粘膜に感染し、そこで増殖する。さらに、そこから血液に侵入してウイルス血症を起こし、中枢神経にも感染する。

 

ポリオウイルスによって、ポリオ(急性灰白髄炎)が引き起こされる。ポリオでは、患者の脊髄の前角の運動神経根が壊される。それにより、麻痺が現れる。

 

ポリオ患者からは、発病から1週間前後の場合に、口腔や咽頭の分泌物からウイルスが確認される。さらに、患者の腸管ではポリオウイルスが増殖している。増殖したウイルスは、長い間、糞便に混じって排出される。

 

上記の分泌物は糞便は、ポリオウイルスの感染源となる。

 

 ポリオウイルスに対する予防法
ポリオウイルスは、ワクチンの接種によって予防することが可能となっている。また、さまざまな医療機関の努力によって、このウイルスの存在が考えられる地域は無くなりつつある。

 

 

コクサッキーウイルス
コクサッキーウイルスは、RNAウイルスである。このウイルスには、A群B群に分類される。さらに、それぞれの群にいくつかの型が存在する。

 

 コクサッキーウイルスの病原性・感染症
コクサッキーウイルスによって起こる感染症は、さまざまである。

 

・手足口病
手足口病は、主にA群16型のコクサッキーウイルスによって起こる。小児に発病する。手のひら(手掌)・足のうら(足底)・口腔内などでの水疱の形成と、発熱を引き起こす。

 

・ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは、A群のコクサッキーウイルスによって引き起こされる。乳幼児がかかる場合が多い。

 

かぜに似た全身症状と発熱が起こる。さらに、小さくて周りの皮膚が赤くなっている水疱を形成する。この水疱が壊れることで、そこに浅い潰瘍が形成される。これらは、熱が下がるのに合わせて回復する。

 

・無菌性髄膜炎
無菌性髄膜炎では、髄液にコクサッキーウイルスの存在を証明できない。このことから、名称に「無菌性」と付けられている。A群とB群の両方のコクサッキーウイルスが、この疾患の原因となる。

 

無菌性髄膜炎の場合、項部の硬直やひどい頭痛などのような髄膜刺激症状が現れる。また、この疾患の症状として、四肢に麻痺が引き起こされる場合がある。

 

・流行性筋痛症
B群のコクサッキーウイルスによって引き起こされる。

 

流行性筋痛症では、胸や腹筋の痛みが急に起こり、さらに、呼吸困難を引き起こす場合がある。また、咽頭の痛み、食欲不振、発熱などの症状が併発する。こちらの症状は、約1週間で治まる。

 

 

ライノウイルス
ライノウイルスは、RNAをもつウイルスである。かぜ症候群の原因となっている。主に鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの鼻かぜの症状を引き起こす。

 

ライノウイルスは、酸に対する抵抗性が低い。また、ある程度温度が高い場所(約37℃)では、ライノウイルスの増殖が行われにくくなる。