デングウイルス、日本脳炎ウイルス

デングウイルス
デングウイルスは、RNAをもつウイルスである。

 

 デングウイルスの感染経路
デングウイルスは、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊(か)を媒介動物とする。そして、その蚊の吸血によって、人から人へと伝播する。

 

 デングウイルスの病原性
デングウイルスが人に感染した場合、その人がもつ単球やマクロファージの中にデングウイルスが入り込む。その中でウイルスが増殖を行うことで、ウイルス血症が引き起こされる。

 

デングウイルスの感染によって引き起こされる感染症は、デング熱(DF)と、デング出血熱デングショック症候群(DHF/DSS)の2つの病型に分けられる。

 

・デング熱(DF)
デング熱(DF)の主な症状は、発疹、痛み、発熱となっている。予後は比較的良好となっている。

 

・デング出血熱/デングショック症候群(DHF/DSS)
デング出血熱/デングショック症候群(DHF/DSS)は、すでにデングウイルスに感染した後での二次感染によって起こる場合が多い。重い症状を示す疾患である。

 

また、デング出血熱/デングショック症候群(DHF/DSS)は、デング出血熱(DHF)とデングショック症候群(DSS)とを併せて書いた名称である。それぞれの症状について、以下に示す。

 

 ・デング出血熱(DHF)
デング出血熱では、発熱と出血が起こる。

 

 ・デングショック症候群(DSS)
デングショック症候群(DSS)では、血漿が血管の外に流れて胸水や腹水となって溜め込まれる。また、循環する血液量の減少と血液濃縮によってショックが起こる。

 

 デングウイルスに対する予防法
媒介となる蚊への注意や、感染が考えられる蚊の駆除などが、デングウイルスに対する予防法としてあげられる。

 

 

日本脳炎ウイルス
日本脳炎ウイルスは、RNAをもつウイルスである。コダカアカイエカという蚊(か)を媒介動物としている。そして、日本脳炎ウイルスを含んだ虫の吸血によって、人に感染する。

 

日本脳炎ウイルスをもっている蚊がブタに吸血した場合、そのブタにウイルス血症が起こる。これにより、そのブタの体内でウイルスが増える。

 

日本脳炎ウイルスをもつブタに他の蚊が吸血することで、数多くの蚊が日本脳炎ウイルスの媒介動物となりうる。

 

 日本脳炎ウイルスの病原性
日本脳炎ウイルスの感染によって、日本脳炎が引き起こされる。日本脳炎は急性の疾患であり、異常反射や意識障害などの脳炎症状、痙攣(けいれん)などの髄膜刺激症状、急な発熱をそれぞれ主な症状として引き起こす。

 

また、日本脳炎ウイルスの感染によって、日本脳炎が発病する確率は約100~1000人に1人とされており、それ以外の人では、症状が起こらない不顕性感染となる。

 

日本脳炎を発病してしまった場合、死亡する危険性がある。また、日本脳炎が治癒した場合であっても、後遺症として運動障害や知能障害が残ってしまう恐れがある。

 

 日本脳炎ウイルスに対する予防法
日本脳炎ウイルスに対する予防法として、不活化ワクチンの予防接種があげられる。