コレラ菌、腸炎ビブリオ、インフルエンザ菌、軟性下疳菌 

コレラ菌
コレラ菌は、グラム陰性であり、通性嫌気性の杆菌である。1本の鞭毛(べん毛)をもつが、莢膜(きょう膜)や芽胞はもっていない。また、コレラ菌は、低温や酸性に弱い傾向にある。

 

 コレラ菌の病原性
コレラ菌は国外で流行する細菌とされている。しかし、コレラ菌の流行地となった地域でとれた魚介類なども、コレラ菌の感染源となる。

 

コレラ菌は、経口感染する細菌であり、コレラ菌を含む飲食物を摂った場合などで感染する。感染したコレラ菌は、腸管の中で増殖を行う。

 

コレラ菌は、ADPをリボシル化する働きをもつタンパク性の毒素であるコレラ毒素(CT)を放出する。そして、コレラ毒素によって、下痢が引き起こされる。その後、嘔吐や脱水症状も起こり、最終的には昏睡状態となって死に至る。

 

 コレラ菌に対する治療法
コレラ菌に対する治療法として、抗生物質の投与と、ブドウ糖や食塩などを含む輸液の投与があげられる。

 

コレラ菌の場合、極度の脱水症状によって多くの体液を失うことが、主な死の原因となっている。そのため、塩分や水分の補給をしっかりと行うことによって、死亡する確率を大きく減少できる。

 

 

腸炎ビブリオ
腸炎ビブリオは、グラム陰性であり、好塩性を示す通性嫌気性杆菌である。芽胞や莢膜(きょう膜)はもっていないが、鞭毛(べん毛)をもっている。

 

 腸炎ビブリオの病原性
腸炎ビブリオは、経口感染する細菌である。腸炎ビブリオが含まれた飲食物を摂ったりした場合に、腸炎ビブリオが感染する。

 

腸炎ビブリオは、食中毒を引き起こす。腸炎ビブリオによる食中毒では、下痢、嘔吐、腹痛などの症状が引き起こされる。そして、2~3日の間に回復する。また、重症化した場合は、虚脱状態が起こり、死亡する危険性もある。

 

 腸炎ビブリオに対する治療法
腸炎ビブリオの主な治療法として、抗生物質があげられる。しかし、ペニシリンは効果がない。また、重い脱水症状が起きた場合には、輸液を必要とすることもある。

 

 

ビブリオ・ブルニフィカス
ビブリオ・ブルニフィカスは、莢膜(きょう膜)をもっている。この菌がもつ莢膜は、マクロファージなどの食細胞に対する抵抗性をもつ。

 

ビブリオ・ブルニフィカスは、経口感染の他、傷口から侵入する創傷感染を起こすこともある。肝臓の状態が悪い場合、この菌の感染を起こしやすい。その一方で、健康な状態であれば、ほとんど感染が起こらない。

 

 ビブリオ・ブルニフィカスの病原性
ビブリオ・ブルニフィカスは、溶血毒を出す。その溶血毒によって、細胞膜が傷害される。

 

 

インフルエンザ菌
インフルエンザ菌は、グラム陰性の通性嫌気性杆菌である。上気道に存在する常在細菌である。莢膜(きょう膜)をもつが、鞭毛(べん毛)はもっていない。

 

 インフルエンザ菌の病原性
インフルエンザ菌は、心内膜炎、髄膜炎、中耳炎などの原因になる場合がある。また、インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症であるため、インフルエンザ菌には関連性がない

 

 インフルエンザ菌に対する治療
インフルエンザ菌に対する治療法として、抗生物質の投与があげられる。

 

 

軟性下疳菌(なんせいげかんきん)
軟性下疳菌は、グラム陰性であり、通性嫌気性の杆菌である。高温、消毒液、乾燥などに弱い。

 

 軟性下疳菌の病原性
軟性下疳菌は、接触感染によって広がる。軟性下疳菌によって引き起こされる疾患は、軟性下疳(なんせいげかん)という性病の1種である。軟性下疳では、患部の潰瘍、発赤、腫脹などが引き起こされる。

 

 軟性下疳菌に対する治療法
軟性下疳菌に対する治療法として、抗生物質の投与があげられる。しかし、ペニシリンは効果がない。