レンサ球菌、化膿レンサ球菌の特徴

レンサ球菌
グラム陽性であり、連鎖状の構造をしている。芽胞をもっていない。

 

化膿レンサ球菌
化膿レンサ球菌は、慢性の扁桃炎にかかっている人の常在細菌となっている。生体の組織の化膿性炎症を引き起こす。また、血液に侵入して、敗血症を引き起こす場合もある。

 

 化膿レンサ球菌の病原性
化膿レンサ球菌が出す毒素のうち、主なものを以下に示す。

 

・溶血毒
化膿レンサ球菌は、ストレプトリジンという溶血毒をつくり出す。ストレプトリジンには、ストレプトリジンOストレプトリジンSがある。

 

・酵素
化膿レンサ球菌の出す酵素には、以下のようなものがある。

 

 ・ヒアルロニダーゼ : ムコ多糖の分解を行う酵素である

 

 ・ストレプトキナーゼ : フィブリンの溶解を行う酵素である

 

 ・ストレプトドルナーゼ : DNAを分解する酵素である

 

・発赤毒(レンサ球菌発熱毒素、ディック毒素)
発赤毒(レンサ球菌発熱毒素、ディック毒素)は、発熱や咽頭発赤などの症状を起こし、さらに落屑(らくせつ)を引き起こす外毒素である。

 

 ※落屑(らくせつ) … 皮膚の表面が角化をおこしてはがれ落ちること

 

また、猩紅熱(しょうこうねつ)にも関係している。

 

・Mタンパク
Mタンパクは、化膿レンサ球菌の細胞壁に存在するタンパクである。

 

 化膿性レンサ球菌による疾患
化膿レンサ球菌によって引き起こされる疾患のうち、主なものを以下に示す。

 

・腎炎
猩紅熱(しょうこうねつ)のあとに腎炎が起こる場合がある。腎炎の主な症状は、発熱、タンパク尿、浮腫などである。

 

・リウマチ熱
リウマチ熱の主な症状は、関節炎、心筋炎、発熱である。

 

・猩紅熱(しょうこうねつ)
化膿レンサ球菌が出す発赤毒によって、皮膚の末梢血管が広げられ、発疹を引き起こす疾患が、猩紅熱(しょうこうねつ)である。猩紅熱の場合、原発巣になるのは、化膿レンサ球菌の感染によって起こった咽頭炎である。

 

・劇症型A群レンサ球菌感染症(レンサ球菌性毒素性ショック症候群(STSS))
劇症型A群レンサ球菌感染症(レンサ球菌性毒素性ショック症候群(STSS))は、A群レンサ球菌によって引き起こされる感染症である。

 

劇症型A群レンサ球菌感染症は、壊死性の炎症であり、高度の組織の破壊を伴う。さらに、体中の状態が悪化し、死にいたる危険性が高い。

 

ストレプトコッカス・アガラクティエ
ストレプトコッカス・アガラクティエは、産道の常在細菌である。この細菌が新生児に感染した場合、その新生児に髄膜炎が引き起こされる場合がある。この場合、新生児が死にいたる危険性が高い。

 

口腔レンサ球菌
口腔レンサ球菌は、口腔の常在細菌となっている。口腔レンサ球菌にはさまざまな種類が存在するが、それらをまとめて緑色レンサ球菌(緑レン菌)とも呼ぶ。

 

口腔レンサ球菌には、むし歯の原因となる「Streptcoccus mutans(ミュータンス菌)」も含まれている。

 

肺炎レンサ球菌
肺炎レンサ球菌は、芽胞や鞭毛(べん毛)をもっておらず、莢膜(きょう膜)をもつ。グラム陽性であり、熱と消毒薬に弱いとされている。肺炎レンサ球菌が引き起こす主な疾患は、肺炎である。