耐性菌の出現、化学療法薬の注意点 − 健康と医療の情報局

 

耐性菌の出現、化学療法薬の注意点

 

耐性菌の出現
1つの化学療法薬や抗生物質などを長い間使用し続けていると、その薬に耐性をもち、その薬が効かなくなる場合がある。耐性菌は、以下の2つのメカニズムで出現する。

 

・自然突然変異選択説
菌の突然変異によって、一定の確率で耐性菌が現れる。このときに抗生物質を使った場合、耐性をもっていないものだけが死滅し、耐性をもつものだけが生き残る。こうして生き残った耐性菌が、増殖を行う。

 

・耐性遺伝子(プラスミド)による耐性の獲得
菌には、染色体上にある本来の遺伝子とは別に、耐性遺伝子(プラスミド)という遺伝子を細胞質の内部にもつものが存在する。また、緑膿菌や腸内細菌などがもっている耐性遺伝子のことを、R因子という。

 

R因子は、細菌の中で増殖する。そして、R因子をもった菌が、同属の菌と接合することで、接合した菌にR因子が送り込まれる。これによって、R因子を受け取った菌が耐性をもつようになる。

 

 

化学療法薬の注意点

 

 化学療法薬の選択
患者の病気に応じて化学療法薬の選択が行われるが、耐性菌が現れないように、化学療法薬を2種類以上あわせて使用する場合がある

 

このとき、化学療法薬の組み合わせによっては、薬の効果が弱くなったり強くなったりすることがある。そのため、そのことに気をつけつつ組み合わせを選択する必要がある。

 

また、長期間同じ薬を使用した場合にも耐性菌が現れることがある。そのため、一定の期間ごとに使用する薬を変える場合もある

 

上記のことから、病原菌にいつも同じ薬が効くとは限らない。そのため、患者に感染している病原菌に、どの薬が効くのかを確認する必要がある。

 

さらに、最初はその病原菌に効く薬であっても、途中から病原菌に耐性がついて効かなくなることがある。そのため、定期的に患者から病原菌を取り出して、その病原菌の状態を確認することが重要である。

 

 副作用
患者に化学療法薬を使用したとき、その患者に治療の目的以外の好ましくない作用が起こることがある。これを副作用という。

 

化学療法薬を長期にわたって大量に使ったときには、副作用が起こりやすい。患者の状態によっては、大量に使用しなかったとしても起こる場合がある。

 

上記のことから、化学療法薬を使った後は、患者の状態をしっかりと確認することが必要である。また、主な副作用には、薬剤アレルギー菌交代症などがある。

 

・薬剤アレルギー
薬剤を使用したときに、その薬剤によるアレルギー反応が現れることがある。これを薬剤アレルギーという。

 

薬剤アレルギーが起こると、体の一部、または全体に薬疹が現れる場合がある。また、使用する化学療法薬によっては、極めて危険な状態になることもある。

 

たとえば、ペニシリンの注射によって引き起こされる薬剤アレルギーでは、注射をしてから30秒〜約15分後に、呼吸困難、けいれん、不整脈、血圧低下などが起こり、最終的に死亡してしまう。これが、ペニシリン・ショックである。

 

上記のようなことを起こさないために、患者がもつアレルギーをしっかりと確認し、薬剤の過敏症試験などで調べておく必要がある。

 

・菌交代症
化学療法薬を使用して一定期間後、患者の体内の常在細菌叢に変化が起こり、その薬剤に耐性をもつ菌が現れることがある。そして、その耐性菌が増殖することで、菌交代症が引き起こされる場合がある。