筋萎縮の分類、重症筋無力症、進行性筋ジストロフィー

筋萎縮を大きく分けると、筋原性筋萎縮神経原性筋萎縮とに分類される。

 

病的な変化が、筋そのものに生じた場合に起こる筋萎縮を筋原性筋萎縮という。一方、障害が下位の運動ニューロンに生じた場合に起こる筋萎縮を神経原性筋萎縮という。

 

運動神経細胞1つにつき、複数の筋線維を支配している。運動神経細胞のうちの1つが障害を負った場合、その運動神経細胞が支配する筋線維は、まとめて萎縮を起こす。

 

・廃用性萎縮
筋を動かさなかった場合にも、筋の萎縮は起こる。このような筋の萎縮を廃用性萎縮という。

 

 

重症筋無力症
末梢神経と骨格筋とのつなぎめの部分を、神経筋接合部という。神経筋接合部のうちの筋側には、アセチルコリン受容体(アセチルコリンレセプタ)という受容体がある。

 

アセチルコリン受容体に対応する自己抗体がつくられる自己免疫疾患のことを重症筋無力症という。重症筋無力症では、胸腺腫を合併する場合がある

 

・重症筋無力症の症状
重症筋無力症では、易疲労性、筋の脱力が症状として現れる。また、呼吸に異常が現れる場合もある。

 

重症筋無力症の症状が生じやすい場所として、外眼筋があげられる。この場合、物が二重に見える複視、眼瞼下垂が引き起こされる。

 

重症筋無力症の症状は、休むことで良くなる。また、朝に比べて夕方の方が症状が強く現れる。

 

・重症筋無力症の治療
重症筋無力症の治療法として、薬剤療法があげられる。また、胸腺の摘出などの外科的治療や、血漿療法などの治療が必要となる場合もある。

 

 

進行性筋ジストロフィー
筋の疾患のうち、遺伝性のものとして、進行性筋ジストロフィーがある。

 

・進行性筋ジストロフィーの症状
進行性筋ジストロフィーの場合、乳幼児期に発病する。進行性筋ジストロフィーの初期の症状は、歩行や起立ができるようになるまでに遅れが生じることである。

 

上記の症状が起きた後に、筋原性筋萎縮が進んでいく。それから、嚥下(えんげ)が困難になり、さらに呼吸筋の萎縮が現れる。進行性筋ジストロフィーでは、呼吸不全が原因となって、死に至る恐れがある。

 

・進行性筋ジストロフィーの治療
進行性筋ジストロフィーの治療法として、運動療法があげられる。これにより、姿勢の異常などの症状を予防する。