移植の種類、拒絶反応(移植免疫)、組織適合抗原、骨髄移植 − 健康と医療の情報局

 

移植の種類、拒絶反応(移植免疫)、組織適合抗原、骨髄移植

 

移植
生きている正常な組織や臓器などを、別の個体や同じ個体内の別の部分に移すことを移植という。

 

・移植片
移植される細胞、組織、臓器などを移植片という。

 

・ドナー(供与者)、レシピエント(受容者)
特定の人がもつ臓器が、別の人に移植される場合(臓器移植)、臓器を提供する人のことをドナー(供与者)という。そして、ドナーから提供された臓器を移植される人のことをレシピエント(受容者)という。

 

 移植の種類

 

・自家移植
特定の個体がもつ組織を、その個体自身の体の別の部分に移植することを自家移植という。

 

・同系移植
一卵性双生児のように、同じ遺伝子の型をもつ別の個体同士の間で行われる移植を同系移植という。

 

・同種移植
同じ種類で、別の遺伝子をもつ別の個体同士の間で行われる移植を同種移植という。

 

・異種移植
別の種類の個体同士の間で行われる移植を異種移植という。つまり、人以外の動物の臓器を人に移植することなどが、異種移植にあてはまる。

 

 

 拒絶反応(移植免疫)
上記の移植の種類のうち、自家移植や同系移植であれば、移植片に対して免疫が起こらず、移植片が生着できる。そして、その移植片は正常に働くことができる。

 

しかし、同種移植や異種移植であれば、移植片に壊死が発生する。さらに、その移植片が生着せずに脱落してしまう。このことを拒絶反応(移植免疫)という。

 

 

 組織適合抗原
同じ種類の個体の場合でも、それぞれの個体がもつ遺伝子は、それぞれの個体ごとに少しだけ異なる部分がある。このことを遺伝的多型という。

 

遺伝的多型によって発生した、タンパク質などの異なる部分は、免疫系から抗原として認識される。そのため、違う遺伝子型をもつ別の個体から移植された移植片に対して、拒絶反応が起こる。

 

上記のように、移植片に対して拒絶反応が起こるかに関係する抗原を組織適合抗原という。

 

・主要組織適合抗原(MHC抗原)
組織適合抗原のうち、免疫に深く関わっているものを主要組織適合抗原(MHC抗原)という。

 

主要組織適合抗原は、生体のさまざまな細胞の表面に存在する。そして、Tリンパ球が自己であることを認識するのに用いられる。

 

・ヒト組織適合白血球抗原(HLA)
人がもつ、主要組織適合抗原にあてはまる分子のことをヒト組織適合白血球抗原(HLA)という。ヒト組織適合白血球抗原の種類は、6種類に分類される。さらに、それぞれがいくつもの異なる種類の型を示す。

 

特定の個体と完全に同じ遺伝子の型をもつ別人というのは、一卵性双生児の他にはほとんどありえない。

 

ヒト組織適合白血球抗原の種類や型が同じであれば、移植片が生着し、正常に機能できる可能性が高くなる。一方、ヒト組織適合白血球抗原の種類や型が同じでない場合、それが、移植片に対して拒絶反応が起こる原因になる。

 

 

 骨髄移植
造血が正しく行われない患者の骨髄細胞を除去し、その患者に造血幹細胞をもつ骨髄組織を移植し、造血の機能を再生させる治療法を骨髄移植という。

 

・移植片対宿主病(GVHD)
移植される臓器などを移植片という。一方、臓器を移植された者の体のことを宿主という。宿主が、移植片によって傷害される反応を移植片対宿主病(GVHD)という。

 

免疫に関係するリンパ球を含んだ状態で、骨髄組織が移植されたとする。この場合、移植された骨髄組織に含まれるリンパ球は、宿主を非自己であると認識する。その結果、そのリンパ球が宿主を傷害してしまう。

 

・臍帯血移植
母胎と胎児との間をつなぐへその緒に含まれる血液のことを臍帯血という。造血幹細胞を含む臍帯血を患者に移植する治療法を臍帯血移植という。

 

臍帯血移植の場合、骨髄移植に比べて移植片対宿主病(GVHD)が起こりにくい利点がある。