虚血性心疾患、心筋梗塞、狭心症 − 健康と医療の情報局

 

虚血性心疾患、心筋梗塞、狭心症

 

虚血性心疾患
心臓は、くり返し、規則的な収縮運動を行い続けている。このことにより、心臓の筋肉(心筋)で必要となる酸素や栄養の量は多くなる。

 

もし、心臓を栄養する役割をもつ冠動脈からの血液の量が、心筋に必要な量に満たないと、心筋は虚血の状態におちいる。

 

さらに、心筋が病変を引き起こし、心臓がもつ機能が大幅に弱められる。このような病態を引き起こすものを虚血性心疾患という。

 

冠動脈での狭窄や閉塞が起こることで、心筋に必要な血液の量と冠動脈から送られる血液の量とが釣り合わない状態になる。

 

また、血管における正常でない収縮やれん縮(スパズム)などの機能的な変化が起こったときや、動脈硬化などの器質の変化が起こったときに、冠動脈の変化が起こる。

 

 虚血性心疾患にあてはまる疾患
虚血性心疾患のうち、主な疾患として、心筋梗塞狭心症があげられる。

 

 心筋梗塞
何らかの原因によって、冠動脈が閉塞を起こしたことで、虚血性の壊死が心筋に生じた状態のことを心筋梗塞という。

 

・冠動脈の閉塞の原因
血管炎、動脈硬化、血栓、塞栓などが、冠動脈の閉塞の原因としてあげられる。そのうち、1番多い原因となっているのが、動脈硬化である。

 

・冠動脈の閉塞が起こりやすい場所
冠動脈の場合、大動脈から分岐する部分の後で約数cm以内の太めの部分に、内腔の閉塞が生じるのが一般的である。

 

・心筋梗塞が起こりやすい場所
左心室は、梗塞を起こすことが多い。左心室の梗塞のなかでとくに多いのは、中隔の前部の梗塞と、左心室の前壁の梗塞である前壁梗塞となっている。前壁梗塞は、左冠動脈の前下行枝の閉塞によって起こる

 

上記の次に多い左心室での梗塞として、中隔の後部の梗塞と、左心室の下壁(後壁)の梗塞である下壁梗塞(後壁梗塞)があげられる。下壁梗塞(後壁梗塞)は、右冠動脈の閉塞によって起こる

 

その一方で、右心室ではほとんど梗塞が起こらない

 

・心筋梗塞における変化
心筋梗塞が発病してから約5〜6時間は、とくに変化が確認されない。梗塞に取り込まれた心筋細胞は、心筋梗塞の発病から約6〜7時間後に、心内膜側から心外膜側に向けて凝固壊死を起こす。

 

壊死を起こした組織は、マクロファージが分解物を含んで肉芽組織となり、その後、瘢痕(はんこん)組織に換えられる。この場合、約3ヶ月で瘢痕組織が完成に達する。

 

瘢痕組織は、収縮する機能をもっていない。また、心筋細胞は、再生する機能をもっていない。

 

心筋梗塞を起こした心臓は、血液を十分に供給できなくなる。それによって、肺がうっ血する。肺がうっ血すると、ガスの交換が十分にできなくなり、低酸素血症が起こる。これによって、心筋の収縮力がさらに弱められる。

 

心筋梗塞では、上記のような悪循環が引き起こされることになる。

 

・心筋梗塞の症状
心筋梗塞では、激しい胸痛が急に起こる。そして、その胸痛が長い間続く。

 

心筋の壊死した部分が壊れて心臓破裂が引き起こされ、心タンポナーデが現れることがある。心タンポナーデが現れた場合、死に至る危険性がある。

 

また、心室性不整脈を発病することがある。心室性不整脈を発病した場合にも、死に至る危険性がある。

 

 ・心原性ショック
心拍出量の減少によって血圧が低下し、さらに、末梢の組織への血液の灌流(かんりゅう)が妨げられた場合、これらによって、心原性ショックが起こる。

 

 ・うっ血心不全
心筋梗塞の急性期を通過した場合でも、心臓のポンプ機能が弱められていることで、うっ血心不全が起こりうる。

 

・心筋梗塞の初期の治療
心筋梗塞を発病したばかりの頃に行われる治療には、痛み、ショック、不整脈に対する治療があげられる。また、患者の絶対安静を徹底する。

 

 

 狭心症
狭心痛(しめつけられるような胸の痛み)や、胸部での苦悶感などを主な症状としている疾患であり、一時的に心筋が虚血を起こしたときに、急に引き起こされる疾患を狭心症という。

 

狭心痛は、舌下にニトログリセリンの投与を行うことで消える。また、数分〜30分の時間をおくことでも消える。

 

・狭心症の分類
狭心症を分類する場合、安静の状態で起こる安静時狭心症と、何らかの動作をしている場合に起こる労作時狭心症とに分けるのが一般的である。

 

また、狭心症の症状の現れ方で分類する場合、症状の現れ方が一定である安定狭心症と、症状の現れ方が一定でない不安定狭心症とに分けられる。

 

・狭心症の治療
狭心症の治療として、薬剤による治療があげられる。狭心症の場合に使用する薬剤には、心筋の収縮性を弱めるものや、冠動脈によるれん縮を抑えるものなどがある。

 

また、狭心症における発作が起こった場合には、ニトログリセリンの投与が有効である。

 

薬剤の治療などの内科的治療でコントロールできない器質性狭心症の場合、手術などの外科的治療が行われる。また、狭心症の治療だけでなく、高脂血症の治療や動脈硬化症の治療も行われる。