肝臓の構造、肝硬変症、肝がん − 健康と医療の情報局

 

肝臓の構造、肝硬変症、肝がん

 

肝臓の構造
肝小葉というものが集まって、肝臓が構成されている。

 

 肝小葉
肝小葉の中心の部分には中心静脈が通っている。この中心静脈の周りを、肝細胞が集まって囲んでいる。さらにそれぞれの肝細胞は、索状に並んでいる。この肝細胞の列のことを肝細胞索という。

 

肝細胞索には、毛細胆管に接している部分がある。その一方で、肝細胞索が、ディッセ腔を通して、他の臓器での毛細血管にあたる類洞に面している部分がある。類洞の内部には、食作用をもつクッパー細胞が存在する。

 

肝小葉の辺縁には、グリソン鞘というものが存在する。グリソン鞘は、線維性組織で構成されている。グリソン鞘によって、接している肝小葉同士が仕切られている。また、グリソン鞘には、小胆管、肝動脈の枝、門脈の枝が含まれている。

 

肝細胞では、胆汁が生成される。生成された胆汁は毛細胆管を通り、グリソン鞘の胆管の方へと流れていく。また、肝小葉での血液が流れる順番は、グリソン鞘の門脈の枝→類洞→中心静脈となっている。

 

 

肝硬変症
肝臓を構成する肝小葉が広く壊され、さらに、それに合わせて線維化が強められることで、肝臓の構造が変えられて、元に戻らなくなる病変が肝硬変症である。肝硬変症に合わせて、肝がんが引き起こされることがある。

 

 肝硬変症の原因
肝硬変症の原因としては、長期間の飲酒の習慣、慢性的な栄養障害、特定の物質による中毒、寄生虫、慢性的なうっ血などがあげられる。また、肝炎から肝硬変症へと、疾患が移行することもある。

 

 代償期、非代償期
肝硬変症には、代償期非代償期とがある。

 

・代償期
肝細胞の破壊の程度が軽く、壊された肝細胞の働きが壊されていない肝細胞によってまかなわれることで、肝臓の機能が保たれている状態を代償期という。

 

・非代償期
肝細胞のほとんどが壊され、肝臓の機能が十分に行われない肝機能不全になっている状態を非代償期という。

 

肝硬変症の非代償期では、肝機能不全が起こるため、肝臓によるタンパク質の合成や解毒などの働きが妨げられる。また、肝機能不全に合わせて、肝臓に入る静脈血の流れが妨げられるため、門脈圧が亢進される

 

 肝硬変症(非代償期)の症状
肝硬変症の非代償期では、上腹部での膨満感(腹部が張って圧迫されるような感覚)や鈍痛(鈍く重苦しい痛み)の他、食欲不振、倦怠感(だるい感覚)などの症状が起こる。

 

また、循環障害が起こって門脈圧が亢進されるため、側副循環が進められる。これにより、脾腫や食道静脈瘤などが発生することがある。

 

肝硬変症の症状が重い場合には、高度の黄疸、肝性昏睡が引き起こされる。高度の黄疸が確認される場合、血液に含まれるアンモニアの値が増えている。これにより、肝性昏睡が起こる。

 

 偽小葉
肝硬変症では、壊された肝細胞が再生するとき、その肝細胞が元の状態に戻らない。そして、元の状態の肝小葉とは異なる構造をつくる。このときつくられる構造を偽小葉という。

 

偽小葉は、正常な肝小葉と似た構造のように見えるものの、肝小葉とは違う配列で細胞が並んでいるなどの異なる点がある。偽小葉では、血液の循環が悪くなっている。

 

また、肝硬変症で壊された後に再生した細胞の場合、正常な肝細胞としての働きは期待できない。

 

 肝硬変症の治療

 

・代償期での治療
肝硬変症の代償期での治療法として、薬物療法、安静、食事療法があげられる。

 

・非代償期での治療
肝硬変症の非代償期の場合、代償期での治療法に加えて、食道静脈瘤での出血への注意、塩分の制限、腹水を蓄積させない、便秘への注意、腸内でのアンモニアの発生を防ぐことが、それぞれ大切となる。

 

 

肝がん
肝がんのほとんどは、C型肝炎が原因となって起こる。また、その次に多い肝がんの原因として、B型肝炎があげられる。

 

 肝がんの分類
肝臓で生じたがんである原発性肝がんに属するものとして、肝細胞がん(ヘパトーマ)、胆管がん(胆管細胞がん、コランギオーマ)があげられる。原発性肝がんが発病した場合、肝細胞がんであることがほとんどである。

 

・肝細胞がん(ヘパトーマ)
肝細胞がん(ヘパトーマ)の場合、合併症として肝硬変を起こすことがある。また、肝細胞がんは、その見た目によって塊状型結節型びまん型の3つの型に分類される。

 

 ・塊状型
大きい腫瘍のかたまりがつくられる型を塊状型という。

 

 ・結節型
肝臓内にて、結節が数多く生じる型を結節型という。結節型の場合、肝硬変を合わせて引き起こすことが、とくに多い

 

 ・びまん型
肝臓全体の面の広い範囲に(びまん性に)がんが広がる型をびまん型という。

 

 肝臓への転移
肝臓には、肝動脈、門脈のそれぞれから血液が送られてくる。これにより、他の臓器でのがんが血流とともに送られ、肝臓に転移性の腫瘍がつくられることが多い。

 

 肝がんの治療
肝がんの治療法として、手術によるがんの切除や、がんに酸素や栄養を与える肝動脈を閉塞させるなどの、外科的治療があげられる。