膵臓の構造、膵臓の外分泌系の疾患

膵臓の構造
膵臓(すいぞう)は、膵液の分泌を行う外分泌部と、グルカゴンやインスリンなどのホルモンの分泌を行うランゲルハンス島(膵島)で構成される臓器である。

 

膵臓は細長い形をしており、十二指腸が弓なりに曲がった部分につながっている。

 

膵臓のうち、膵頭の部分の中には、胆汁の通路の1つである総胆管が通っている。総胆管は、膵臓の導管である主膵管と、膵頭の内部で合流している。そして、十二指腸にあるファーター乳頭部に開いている(開口している)。

 

膵臓の外分泌系の疾患

 

 膵がん
膵がんを起こすことが多い場所として、膵臓の膵頭部があげられる。膵頭部での膵がんの場合、腺がんであることが多い。さらに、膵管上皮に由来するがんであることが多い。

 

・膵がんの症状
膵がんが引き起こされた初期の頃には、食欲不振、黄疸(おうだん)、腹痛などの症状が起こる。また、膵がんの予後は悪い傾向にある。

 

膵頭部に腫瘍がつくられた場合、その腫瘍によって、膵頭部の中にある総胆管を通る胆汁の流れが、妨げられることがある。この場合、閉塞性黄疸を引き起こすことがある。

 

膵臓の尾部や体部にがんが生じた場合、症状が現れるのがとくに遅い。そのため、症状が現れるまでに、がんが進行してしまうことが考えられる。膵臓の尾部や体部でのがんの場合、血行性転移やリンパ行性転移を起こすことが多い。

 

 急性膵炎
膵液に含まれる消化酵素の1種にトリプシンがある。トリプシンの活性化が、十二指腸ではなく膵臓の中で起こることによって、膵臓が自己消化を起こした状態を急性膵炎という。

 

急性膵炎を発病した場合、膵実質の広い範囲で出血や壊死が生じる。また、膵臓が肥大化する。

 

・急性膵炎の原因
急性膵炎の原因のうち、とくに多いのは飲酒である。

 

・急性膵炎の症状
急性膵炎の症状として、腹部の緊張、上腹部(腹のうち、へその上の部分)の激しい痛みがあげられる。これらの症状は、膵臓の自己消化によって生じるものである。

 

・急性膵炎の治療
急性膵炎の治療法として、薬物療法、開腹手術があげられる。

 

 慢性膵炎
慢性膵炎では、膵臓の実質の脱落や、膵臓の組織の線維化が起こる。さらに、これらの病的な変化に合わせて、膵管や主膵管が伸び広げられる(拡張する)。

 

・慢性膵炎の原因
慢性膵炎のほとんどは、大量の飲酒によって引き起こされる。

 

・慢性膵炎の症状
慢性膵炎の症状として、腹部での圧痛などがあげられる。慢性膵炎が進行した場合、膵臓にある外分泌部と内分泌部とのそれぞれの機能における異常が、表面化される。これにより、消化や吸収の働きが妨げられ、糖尿病を起こすこともある。

 

・慢性膵炎の治療
慢性膵炎の治療法として、脂肪・タンパク質・飲酒をそれぞれ控える食事療法があげられる。