多重がん、悪性腫瘍の進行度、腫瘍による影響 − 健康と医療の情報局

多重がん、悪性腫瘍の進行度、腫瘍による影響

 

このページでは、「多重がん」「悪性腫瘍の進行度」「腫瘍による影響」について、それぞれ解説していく。

 

多重がん

同じ宿主において、2つ以上のがんの発生が、同時、または異なる時期に起こることがある。このようながんを多重がんという。

 

多重がんには、複数のがんの発生が同じ臓器で起こる場合と、複数のがんの発生がそれぞれ違う臓器で起こる場合とがあげられる。

 

重複がん

 

多重がんのうち、複数のがんの発生がそれぞれ違う臓器で起こる場合を重複がんという。

 

多重がん、重複がんの例

 

多重がんや重複がんにあてはまる例のうち、主なものを以下に示す。

 

対になった臓器の場合

 

肺などの対になった臓器にがんが発生する場合、左右にそれぞれがんが発生することがある。

 

頭頸部の場合

 

食道、口腔、咽頭などの頭頸部で発生するがんとして、扁平上皮がんがある。

 

扁平上皮がんは、頭頸部に存在するそれぞれの組織や臓器に、同時、または異なる時期に多発性に発生することがある。

 

 

悪性腫瘍の進行度

 

ラテントがん(偶発がん)

 

がんに関すること以外の目的で、細胞や組織を取り出して調べた場合に、偶然、がんが発見されることがある。このようながんのことをラテントがん(偶発がん)という。

 

オカルトがん

 

がんの転移巣によって現れる症状が確認されるものの、そのがんが最初に発生した場所の病巣である原発巣が不明であり、その後の調査で原発巣がわかることがある。このようながんのことをオカルトがんという。

 

早期がん

 

早期がんは、進行がんに対する呼び方である。早期がんの定義は、それぞれの臓器ごとに違う

 

早期がんの主な特徴

 

早期がんの主な特徴について、以下に示す。

 

  • がんのサイズが小さめである
  • 転移することが少ない
  • 治療を行うことで長く生きられる

 

進行がん

進行がんは、早期がんに対する呼び方である。進行がんの定義は、それぞれの臓器ごとに違う

 

進行がんの主な特徴

進行がんの主な特徴について、以下に示す。

 

  • がんのサイズが大きめである
  • 治療を行っても長く生きられる可能性が低い
  • 局部での破壊や浸潤が目立つ
  • 転移することが多い

 

末期がん

 

がんの症状が進んでいき、そのがんの宿主の余命が少なくなった場合、この状態のことを末期がんという。

 

腫瘍による影響

 

一度、腫瘍細胞が発生すると、その腫瘍細胞は自律的に増殖を行い、正常に支配されなくなる。

 

腫瘍細胞は、宿主から栄養を補給して生存し、発育を続ける。

 

これに合わせて、宿主にはさまざまな異常が引き起こされる。

 

原発部位(腫瘍が最初に発生した場所)の周りへの影響

 

腫瘍の発育が進み、そのサイズが大きくなった場合、その腫瘍は周りにある組織などを圧迫し始める。このとき圧迫される組織により、異なる症状が現れる。

 

上記の例として、腫瘍によって血管が圧迫されたとする。この場合、血液の流れが悪くなる。さらに、その腫瘍の周りにある組織に、梗塞などが起こる。

 

大腸がんによって、腸管が狭窄されたとする。この場合、便秘などが引き起こされる。

 

腫瘍が血管から自身の栄養を補給する際に、必要な栄養の補給が間に合わないことがある。それにより、その腫瘍の真ん中の部分に、壊死(えし)が起こることが多い

 

腫瘍が壊死を起こした場所は、細菌などの微生物に感染されやすい。そのため、感染症を発病する恐れがある。

 

体全体への影響

 

がんが増殖を行うためには、栄養が数多く必要となる。さらに、宿主が必要とする栄養をがんが奪ってしまう危険性もある。

 

がん細胞からは、さまざまな因子が送り出される。これらの因子により、がんの宿主に食欲低下や発熱などが現れる。その結果、宿主の体力が失われていってしまう。

 

がんが末期まで進行する頃には、宿主の体には皮膚の変色、体重の低下、浮腫、低タンパク血症などを起こした状態になってしまう。

 

上記のように、がんが末期まで進行し、宿主の体力が失われた状態のことを悪液質(カヘキシー)という。

 

一方、がんの宿主には、血液の凝固系などに異常が起こることがある。さらに、播種性血管内凝固症候群(DIC)などの疾患が引き起こされることもある。

 

 ※「播種性血管内凝固症候群(DIC)」については、「ショック、播種性血管内凝固症候群(DIC)、リンパ循環障害」のページで解説している。

 

宿主の体力が、がんによって失われていくと、微生物による感染症を起こしやすくなる。このとき、健康な状態であれば感染しなかった微生物に感染され、その感染症が引き起こされることがある。

 

これを日和見感染という。