脂質代謝障害・疾患 − 健康と医療の情報局

 

脂質代謝障害・疾患

 

脂質の種類には、中性脂肪(トリグリセリド)、リン脂質、コレステロールなどがある。脂質は、水に混ざらない性質をもつ。

 

脂質の代謝異常が起こると、それによってさまざまな疾患などが発生する。脂質の代謝異常による疾患や病態には、肥満(肥満症)、動脈硬化(動脈硬化症)、高脂血症、脂肪肝などがある。

 

脂質の代謝異常の主な原因には、運動不足や過食などの習慣があげられる。これらの場合、同じ時にいくつかの疾患や病態を合併することが多い。

 

 肥満
生体の維持や活動などに必要な量よりも多くのエネルギーを摂取した場合、そのエネルギーの一部はグリコーゲンとなって体に溜め込まれる。それ以外のエネルギー成分は、ほとんどが脂肪の形で体に溜め込まれる。

 

上記のように体にためこまれた脂肪の量が、基準となる値を超えていた場合に肥満であるとされる。肥満を判断する基準には、BMI(体格指数)がある。BMIでは、25以上の値を示すときに肥満であると判断される。

 

肥満が起こるかどうかは、食生活や運動習慣などに大きく関わっている。

 

肥満の状態では、体にかかる負荷の増加によって起こる変形性膝関節症などの他、糖尿病、動脈硬化、高血圧、高脂血症などがもととなって起こる冠動脈疾患などを発病しやすくなる。

 

肥満には、疾患によるものかどうかによって、大きく2種類に分類できる。

 

・単純性肥満
肥満のうち、疾患が原因ではないものを単純性肥満という。

 

・症候性肥満
肥満のうち、基礎的な疾患が原因となっているものを症候性肥満という。症候性肥満には、内分泌異常によって引き起こされるものなどがあてはまる。

 

・レプチンと肥満との関係
ホルモンの1種に、レプチンというものがある。レプチンは脂肪組織などでつくられ、抗肥満作用をもっている。高度な異常がレプチン遺伝子に発生すると、それによって、高度な肥満が起こるとされている。

 

 動脈硬化症
動脈壁が弾力を失って硬くなり、肥厚した場合、それを動脈硬化という。

 

動脈硬化に関わるものとして、血液内に存在する脂質(コレステロールなど)の濃度上昇があげられる。脂質の沈着が、動脈の内膜の直下で発生した場合、動脈硬化が起こる。

 

 ・泡沫細胞
マクロファージが脂質を内部に含んだ場合、そのマクロファージの細胞質内に、泡に近い構造物がつくられる。この状態のマクロファージのことを、泡沫(ほうまつ)細胞という。

 

泡沫細胞が集合すると、その場所で、斑状(まだら状)を示す病変である粥腫(じゅくしゅ)(アテロームともいう)をつくる。これを粥状硬化(アテローム硬化)とも呼ぶ。

 

・動脈硬化の続発症
動脈硬化の病変が古くなった場合、それに伴って線維増生が起こる。そして最後には、動脈の内腔が激しい狭窄(きょうさく)を起こす。

 

 ・虚血性心疾患
心臓に必要な栄養や酸素を送る動脈として、冠動脈がある。冠動脈が狭窄した場合、心臓に送られる血液の量が減る。これにより、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患が起こる。

 

 ・脳梗塞
動脈硬化が脳の動脈に発生すると、それを原因として脳梗塞を引き起こす場合がある。

 

 ・動脈瘤
動脈硬化の発生によって動脈壁が壊された場合、動脈の内腔が嚢状にふくらんだ動脈瘤(どうみゃくりゅう)を引き起こすことがある。

 

 ・血栓
粥腫(じゅくしゅ)が破壊されると、それが原因となって血栓がつくられることがある。

 

・動脈硬化症の危険因子
動脈硬化症の危険因子には、喫煙などの習慣のほか、糖尿病、高血圧症、高脂血症などの疾患があげられる。動脈硬化症を予防するためには、これらの動脈硬化症の危険因子をなくすことが重要である。

 

 高脂血症
血液に含まれる中性脂肪(トリグリセリド)とコレステロールのうち、どちらかが増えた状態と両方とも増えた状態のことを、一般的にそれぞれ高脂血症という。

 

高脂血症の種類として、家族性の高脂血症と、何らかの疾患に続く形で発生する続発性の高脂血症とがあげられる。

 

 脂肪肝
数多くの脂肪が肝臓に沈着した場合、その状態のことを脂肪肝という。肝臓は、脂肪代謝において重要な役割をもつ器官である。

 

脂肪肝の原因には、肝細胞が障害される、肝臓から運び出される脂肪が減る、体全体における脂肪の合成が増えるなどがあげられる。さらに、酸素不足、飲酒、肥満、糖尿病、低栄養状態なども脂肪肝の原因になる。