腹部の筋、鼠径靱帯、鼠径管 − 健康と医療の情報局

 

腹部の筋、鼠径靱帯、鼠径管

 

腹部の筋
腹部の筋には、前腹部の筋側腹部の筋がある。これらの筋は、腹壁を構成する筋である。また、腸骨稜から起始し、腰椎と第12肋骨で停止する腰方形筋は、後腹壁に存在する。

 

腹部の筋を支配する神経は、肋間神経である。

 

 前腹部の筋

 

・腹直筋
腹直筋は、第5〜7肋軟骨から起始し、恥骨で停止する。前腹壁を構成している。腹直筋の筋腹(起始と停止の間)には、3か所、もしくは4か所ほど腱画を含んでいる場所がある。

 

腹直筋には、体幹を前に曲げて、腹部の圧力を上げる役割がある。

 

 ・腹直筋鞘
腹直筋を包む筋膜があり、それを腹直筋鞘という。また、腹直筋鞘は、側腹部の筋の停止する場所にもなっている。

 

腹直筋鞘は、左右から腹部中央(正中線)で交わって白線をつくる。白線は、臍のまわりで臍輪(さいりん)をつくる。

 

臍輪が関係するものとして、臍ヘルニアがある。臍ヘルニアは、臍輪から皮下に腸が出てしまうことである。幼い子供におこることが多い。

 

 側腹部の筋
側腹部の筋は、浅い位置のものから順に外腹斜筋内腹斜筋腹横筋の3つで構成される。側腹部の筋には、腰を曲げて、腹部の圧を上げる役割がある。

 

・外腹斜筋
外腹斜筋は、第5〜12肋骨から起始する。そこから前方の下方向に向かって腱膜となり、鼠径靱帯と腹直筋鞘で停止する。側腹壁のうち、一番表側の層にあたる筋である。

 

・内腹斜筋
内腹斜筋は、腸骨稜と腰の腱膜から起始する。そこから前方に向かって広がって腱膜となり、腹直筋鞘で停止する。側腹壁のうち、中間の層にあたる筋である。

 

・腹横筋
腹横筋は、腸骨稜、腰の腱膜、下位に位置する肋骨から起始する。そこから前方に向かって腱膜となり、腹直筋鞘で停止する。側腹壁のうち、一番奥の層にあたる筋である。

 

 鼠径靱帯
体幹と大腿との間にある皮下を通っている靱帯を鼠径靱帯という。鼠径靱帯は、外腹斜筋が停止する場所になっている。また鼠径靱帯は、上前腸骨棘と恥骨結節の間をつなげている。

 

鼠径靱帯の奥の層と寛骨との間には空間があり、その空間が骨盤から大腿に入るための通路になる。その通路の外側の部分は筋裂孔となっており、内側の部分は血管裂孔となっている。

 

筋裂孔は、大腿神経と腸腰筋が通行する場所になっており、血管裂孔は大腿動静脈が通行する場所となっている。

 

血管裂孔の外側の部部から、腸の一部が突出してしまったものを大腿ヘルニアという。大腿ヘルニアは30代以降の女性におこる場合が多い。

 

 鼠径管
鼠径靱帯の上部には、約4cmの長さをもつ通路である鼠径管があり、側腹部の筋(外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)をななめに通過する。

 

鼠径管の入口は腹腔に開いており、それを深鼠径輪という。鼠径管の出口は、外腹斜筋の腱膜を通過しており、それを浅鼠径輪という。

 

鼠径管を通るものは、男性の場合は精索、女性の場合は子宮円索である。鼠径管から腸の一部が突出してしまったものを鼠径ヘルニアという。鼠径ヘルニアは、男性におこる場合が多い。