気管・気管支・肺・胸膜・縦隔の構造

気管、気管支
喉頭から下に気管が続いている。そこから、第5の胸椎の位置で左右に分かれる気管支にそれぞれ続く。

 

気管の上部の前方には、甲状腺がある。食道は、気管の後ろに存在する。

 

気管の壁のうち、その前方と側面とは、ひづめに近い形の軟骨20個ほどによって囲まれている。また、平滑筋をもつ膜によって、気管の壁の後ろ側が構成されている。

 

気管支の周りは軟骨で囲まれている。その軟骨の数は、気管支枝のところから少なくなっていく。

 

右の気管支は、肺門から入って3つに分かれた葉気管支になっている。左の気管支は、肺門から入って2つに分かれた葉気管支になっている。

 

それぞれの葉気管支は、数多く枝分かれしている。それぞれの葉気管支の枝は、区域気管支、気管支枝、小葉間細気管支の順番に変わっていき、小葉に入り込む。

 

小葉からは、終末細気管支、呼吸細気管支、肺胞管、肺胞嚢、肺胞の順番に続いている。

 

細気管支では軟骨が存在しないが、弾性繊維と平滑筋の発達が、細気管支の周りにみられる。

 

気管と気管支の粘膜上皮は、多列線毛上皮になっている。しかし、細気管支からの粘膜上皮は、単層円柱上皮となっている。呼吸細気管支の粘膜上皮は、単層立方上皮になっている。

 

肺胞の粘膜上皮は、弾性線維と薄めの上皮によって構成される。

 


肺は、左右1組になっている。胸膜という膜によって、左右の肺がおおわれている。左右の肺は、胸腔の内部にある。左右の肺の間にあり、左右に肺を分けるのは、縦隔という壁である。

 

肺の底の部分は、横隔膜の上部に接している。

 

・肺尖
肺の先端の部分を肺尖という。

 

・肺門
左右の肺の内側の中央には肺門がある。肺門に出入りしているものには、気管支、気管支動脈、肺動脈、肺静脈、肺神経叢などがある。また、肺門には、数多くのリンパ節が存在する。

 

・肺葉
肺葉は、左右それぞれの肺の内部に存在する。

 

左の肺がもつ肺葉は、左上葉と左下葉の2つに分かれている。右の肺がもつ肺葉は、右上葉、右中葉、右下葉の3つに分かれている。

 

それぞれの肺葉は、複数の肺区域で分けられている。左の肺には、肺区域が9区域存在する。右の肺には、肺区域が10区域存在する。

 

・肺胞
肺が空気を入れておく場所を肺胞という。肺胞は弾性をもっており、数多く存在する。呼吸細気管支より先にある壁からは、いくつもの肺胞が突き出ている。また、気道を通った外の空気は、肺胞に直接入る。

 

肺胞は、肺動脈からの毛細血管によって囲まれている。また、肺胞がもつ上皮細胞を、呼吸上皮という。呼吸上皮は、非常に薄い上皮細胞である。

 

毛細血管にある内皮細胞と、肺胞がもつ呼吸上皮を介して、ガスの交換が行われる。ガスの交換によって、血液に酸素が送られ、肺胞に二酸化炭素が出ていく。

 

 ・肺の機能血管
肺門に出入りする血管のうち、肺の機能血管となるのは肺動脈と肺静脈である。

 

 ・肺の栄養血管
肺の栄養血管は、気管支動脈となっている。気管支動脈は、肺のそれぞれの組織に酸素と栄養を送る働きをもつ。

 

気管支動脈は、気管支と気管支枝に沿いながら広く存在している。気管支動脈の一部は、胸膜に届いている。

 

胸膜
胸膜は、壁側胸膜と肺胸膜との2つに分かれて存在する。壁側胸膜は、胸壁の内側をおおっている。肺胸膜は肺の表面をおおっている。

 

壁側胸膜と肺胸膜との間には、胸膜腔という空間になっている。胸膜腔の内部には、胸膜液を少し含んでいる。胸膜液によって、肺が活動しやすくなり、膜の摩擦を抑えることができる。

 

肺葉の間にはくぼみがあり、そのくぼみに肺胸膜が入り込んでいる。肺胸膜は、肺門のところから裏返して壁際胸膜に移り変わっている。

 

壁側胸膜は3つに分かれており、それぞれ肋骨胸膜、横隔胸膜、縦隔胸膜という。肋骨胸膜、横隔胸膜、縦隔硬膜のそれぞれの境目になる部分には、胸膜洞という腔所がある。

 

縦隔
胸膜腔を左右に仕切っている壁を縦隔という。縦隔は、頸部から胸部と腹部に続く通路でもある。

 

縦隔は、上縦隔と下縦隔の2つに分けられる。下縦隔は、前縦隔、中縦隔、後縦隔の3つに分けられる。

 

縦隔には、心臓、心臓を通る血管、胸腺、神経、食道など、数多くの器官が含まれている。