骨格筋、腱

体の運動は、骨格筋によって骨格を動かすことで行われる。関節をはさむ骨と骨の間を、骨格筋がつなぐ。骨格筋の両側の端は、骨膜に付くひも状の腱になる。腱は結合組織性である。

 

 起始、停止
筋の両端について、体に近い方を起始といい、体から遠い方を停止という。起始の近くの部分を筋頭といい、停止の近くの部分を筋尾という。起始と停止の真ん中は筋腹という。

 

 筋の関係
動く方向が同じになる筋同士の関係を協力筋という。動く方向が反対になる筋同士の関係を拮抗筋という。筋には、縮まる力があってものびる力がない。

 

 筋と腱を補助するもの

 

・筋膜
筋の表面を包んでいる膜を筋膜という。筋膜は結合組織性であり、筋を守る役割をもつ。

 

・滑液包
骨格と腱との間や、突き出ている骨部と皮膚との間にある、小さい膜状の袋のことを滑液包という。滑液包の中には滑液という液体が含まれている。滑液包によって、筋や腱が動きやすくなる。

 

・腱鞘(滑液鞘)
手足の腱を包む長い袋を腱鞘という。腱鞘は、腱を動きやすくする役割をもつ。

 

・種子骨
腱の中にある小骨を種子骨という。腱が関節を超える部分で、その力がはたらく向きをかえる役割をもつ。

 

・滑車
骨と靱帯のうち、腱をひっかけるものを滑車という。力がはたらく向きをかえる役割をもつ。

 

 骨格筋のはたらき
関節部分にある骨格は、その骨格や関節に関する筋の収縮によって動く。動く範囲と軸は、関節の形によって異なる。体が運動を行うとき、拮抗筋による動きを1つの組としている。

 

・屈曲と伸展
骨と骨の間の角度を小さくすることを屈曲といい、大きくすることを伸展という。

 

・内転と外転
骨の中心に近づけることを内転といい、遠ざけることを外転という。

 

・内旋と外旋
骨の長い方の軸に対して、内側にまわることを内旋といい、外側にまわることを外旋という。

 

・回内と回外
腕や足などで、体に向けてねじる動きを回内といい、体から遠ざかるようにねじる動きを回外という。

 

 骨格筋の神経
骨格筋は筋線維でつくられる。それぞれの筋線維の中には、運動神経の終末部が付いている。運動神経線維と知覚神経線維が、骨格筋を支配する。

 

・運動神経による支配
運動神経の軸索のうち骨格筋の支配を行うものは、筋の中で枝分かれしている。そして、筋線維の真ん中に付く。運動神経の軸索が付いている場所を、神経筋接合部という。

 

神経筋接合部は化学シナプスの1つであり、神経終末からくる伝達物質(アセチルコリン)で筋に興奮をおこさせる。1個の運動ニューロンとそれが支配する骨格筋線維をまとめて、運動単位という。

 

・知覚神経による支配
骨格筋の筋線維には、筋紡錘が含まれている。筋紡錘は、筋の張力を感じ取る。そして、その情報にもとづき、反射的に筋の収縮を調節する。

 

腱には、腱紡錘がある。また、腱や靱帯には、ファーテル・パチニ小体が含まれている。筋、腱、関節などから伝わる位置覚、振動覚、関節での運動覚などの感覚のことを深部感覚という。これは、手足などの体の部分の位置や運動を感知する。