核酸、ヌクレオチド、塩基

核酸は、ヌクレオチドというものが数多く集まってできている。ヌクレオチドは、塩基とペントース(五単糖)とリン酸が結合したものである。

 

また、塩基とペントースのみ結合したものをヌクレオシドという。このヌクレオシドに、リン酸が結合した場合、ヌクレオチドになるといえる。

 

核酸の種類
核酸には、RNAリボ核酸)とDNAデオキシリボ核酸)の2つがある。

 

 RNA(リボ核酸)
タンパク質をつくるために必要な核酸がRNAである。RNAには、トランスファーRNAtRNA)、メッセンジャーRNAmRNA)、リボソームRNArRNA)の3種類がある。

 

・トランスファーRNA(tRNA)は、アミノ酸をリボソームへ運ぶはたらきをもつ。

 

・メッセンジャーRNA(mRNA)は、細胞質にDNAの遺伝情報を伝えるはたらきをもつ。

 

・リボソームRNA(rRNA)は、82種のタンパク質と一緒にリボソームをつくるはたらきをもつ。

 

これら3種類のRNAは、DNAにある情報を参考につくられている。

 

RNAにあるペントース(五単糖)は、リボースである。

 

 DNA(デオキシリボ核酸)
タンパク質をつくるための情報をもつ遺伝子が集まったものがDNAである。DNAは、ヒストンなどのタンパク質に結合し、クロマチン染色質)となって細胞核に存在する。そして、細胞分裂のときには、クロマチンの凝縮がおこって染色体になる。

 

DNAにあるペントース(五単糖)は、デオキシリボースである。

 

塩基
塩基には、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、ウラシル(U)の5つがある。RNAは、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシルをもつ。DNAは、アデニン、グアニン、シトシン、チミンをもつ。

 

塩基を構造で分けると、プリン構造であるプリン塩基と、ピリミジン構造であるピリミジン塩基の2つに分けられる。

 

それぞれの核酸の構造
RNAは、1本のヌクレオチドの鎖でできている。3種類のRNAには、役割以外にも下のような違いがある。

 

RNA 種類の数 全体の割合 ヌクレオチドの数
tRNA 約60種類 約10%~20% 70~90個
mRNA 数万種類 約10%以下 数百~数千個
rRNA 4種類 約80% 120~4700個

 

DNAは、二重らせん構造になっている。2本のヌクレオチドの鎖が水素結合によって結合しており、この水素結合が二重らせん構造の維持につながっている。

 

水素結合は、アデニンとチミンとで2ヶ所、グアニンとシトシンとで3ヶ所できる。水素結合する塩基は、アデニンとチミン同士、グアニンとシトシン同士と決まっている。

 

それぞれの核酸における塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチドの名称

 

RNAにおける塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチドの名称

塩基 ヌクレオシド ヌクレオチド
アデニン(A) アデノシン アデニル酸(AMP、アデノシン5’-リン酸)
グアニン(G) グアノシン グアニル酸(GMP、グアノシン5’-リン酸)
シトシン(C) シチジン シチジル酸(CMP、シチジン5’-リン酸)
ウラシル(U) ウリジン ウリジル酸(UMP、ウリジン5’-リン酸)

 

DNAにおける塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチドの名称

塩基 ヌクレオシド ヌクレオチド
アデニン(A) デオキシアデノシン デオキシアデニル酸(dAMP、デオキシアデノシン5’-リン酸)
グアニン(G) デオキシグアノシン デオキシグアニル酸(dGMP、デオキシグアノシン5’-リン酸)
シトシン(C) デオキシシチジン デオキシシチジル酸(dCMP、デオキシシチジン5’-リン酸)
チミン(T) デオキシチミジン デオキシチミジン酸(dTMP、デオキシチミジン5’-リン酸)