ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオチドの合成・分解・再利用 − 健康と医療の情報局

 

ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオチドの合成・分解・再利用

 

核酸の材料、ヌクレオシド三リン酸
核酸であるRNA(リボ核酸)とDNA(デオキシリボ核酸)は、どちらもヌクレオシド三リン酸を直接的な材料としている。

 

・RNAの材料となるヌクレオシド三リン酸
ヌクレオシド三リン酸のうち、RNAを生成するための材料となるのは、リボースを含んだヌクレオシド三リン酸のATPGTPCTPUTPである。

 

・DNAの材料となるヌクレオシド三リン酸
ヌクレオシド三リン酸のうち、DNAを生成するための材料となるのは、デオキシリボースを含んだヌクレオシド三リン酸のdATPdGDPdCTPdTTPである。

 

・核酸の合成と分解
RNAは活発に代謝され、合成されたRNAのうち、不要になったものはすぐに分解される。一方、DNAは中の細胞が生きていれば分解されない。

 

 

ヌクレオチドの合成
ヌクレオチドは、核酸を合成するうえで欠かせないものである。

 

ヌクレオチドの塩基部分を構成するのは、二酸化炭素アミノ酸THF誘導体(テトラヒドロ葉酸誘導体)である。一方、ヌクレオチドのリボース部分は、リボース5-リン酸というペントースリン酸回路の代謝中間体の1つに由来するものである。

 

上記のそれぞれの材料を用いて、新しくヌクレオチドを生成する経路のことを、ヌクレオチドの新生経路という。

 

また、ヌクレオチドを分解する過程で発生する塩基のすべてが分解される前に、その塩基を再び利用してヌクレオチドを生成する経路がある。この経路のことを、ヌクレオチドの再利用経路という。

 

・デオキシリボヌクレオチドとDNA合成
デオキシリボヌクレオチドは、DNAの合成に欠かせないものである。デオキシリボヌクレオチドは、リボヌクレオチドというリボースを含んだヌクレオチドにあるリボースの2’位が還元されることで生成される。

 

また、リボヌクレオチドはRNAの合成に必要なものであり、単に「ヌクレオチド」ともいう。

 

 プリンヌクレオチドの合成
新生経路によってプリン骨格が形成される場合、リボース5-リン酸からのPRPP(5-ホスホリボシル1-ピロリン酸)の生成から始まる。

 

新生経路において、リボース2-リン酸から発生したPRPPは、さまざまな反応を経てイノシン酸を生成する。イノシン酸は、この経路ではじめに生成されるヌクレオチドであり、塩基がヒポキサンチンとなっている。

 

イノシン酸は、GMP(グアニル酸)とAMP(アデニル酸)に変わる。

 

グアニル酸は、その後のリン酸化によってGDP(グアノシン二リン酸)となる。そして、GDPがさらにリン酸化されてGTP(グアノシン三リン酸)となる。

 

アデニル酸は、その後のリン酸化によってADP(アデノシン二リン酸)となる。そして、ADPはさらにリン酸化されてATP(アデノシン三リン酸)となる。

 

GTPとATPは、どちらもRNA合成の材料になる。

 

 ピリミジンヌクレオチドの合成
新生経路によって、ピリミジンヌクレオチドが合成される場合、最初に、塩基骨格の形成が行われ、それにPRPP(5-ホスホリボシル1-ピロリン酸)が反応し、リン酸化を受けたリボースが結合する。

 

新生経路によるピリミジン骨格の合成の出発地点となる物質は、カルバモイルリン酸である。カルバモイルリン酸は、さまざまな反応を受け、カルバモイルアスパラギン酸ジヒドロオロト酸オロト酸と変化していく。

 

そして、このオロト酸が、このピリミジン骨格の合成の経路で、1番初めにつくられるピリミジン骨格をもつ化合物である。

 

オロト酸は、PRPP(5-ホスホリボシル1-ピロリン酸)と反応することで、ヌクレオチド骨格をもつオロチジル酸に変わる。

 

オロチジル酸が脱炭酸反応を受けることでUMP(ウリジル酸)となり、UMPは、リン酸化によってUDP(ウリジン二リン酸)に変わる。そこから、UDPがリン酸化されることでUTP(ウリジン三リン酸)が生成される。UTPは、RNAを合成するための材料となる。

 

そして、UTPがさらに変化がおこるとCTP(シチジン三リン酸)となる。CTPもRNAを合成するための材料となる。

 

 デオキシリボヌクレオチドの合成
デオキシリボースを含むヌクレオチドは、DNAの生成に欠かせない材料である。ヌクレオチド二リン酸のリボースの2’位が、還元型チオレドキシンによって還元されることで、デオキシリボースを含むヌクレオチドが生成される。

 

 ・ADP(アデノシン二リン酸) + 還元型チオレドキシン → dADP(デオキシアデノシン二リン酸)

 

 ・GDP(グアノシン二リン酸) + 還元型チオレドキシン → dGDP(デオキシグアノシン二リン酸)

 

 ・UDP(ウリジン二リン酸) + 還元型チオレドキシン → dUDP(デオキシウリジン二リン酸)

 

 ・CDP(シチジン二リン酸) + 還元型チオレドキシン → dCDP(デオキシシチジン二リン酸)

 

還元型チオレドキシンは、上記の反応の後に酸化型へと変わる。酸化型チオレドキシンは、チオレドキシン還元酵素の作用で、NADPHからの還元を受ける。それによって、酸化型チオレドキシンは再び還元型チオレドキシンになる。

 

こうして生成されたdADP、dGDP、dCDPの3つは、それぞれリン酸化を受けることで、dATP(デオキシアデノシン三リン酸)、dGTP(デオキシグアノシン三リン酸)、dCTP(デオキシシチジン三リン酸)になる。これら3つは、DNAを合成するための材料になる。

 

一方、dUDPは、dUDP→dUMP→dTMP→dTDP→dTTPという経路で、dTTP(デオキシチミジン三リン酸)となる。dTTPは、上記の4つとあわせてDNA合成の材料になる。

 

ヌクレオチドの分解と再利用
ヌクレオチドの分解によってできた塩基を、ヌクレオチドの生成に再利用する経路のことを再利用経路という。

 

 プリンヌクレオチドの分解と再利用

 

・GMPの分解と再利用
RNAが加水分解されたときに生成されるGMP(グアニル酸)は、GMP→グアノシン→G(グアニン)→キサンチン→尿酸の順に変わっていく。生じた尿酸は、尿に含まれて排泄される。

 

また、ほとんどのグアニンが再利用経路に入ってPRPP(5-ホスホリボシル1-ピロリン酸)と反応し、再びGMP(グアニル酸)になる。

 

・AMPの分解
RNAが加水分解されたときに生成されるAMP(アデニル酸)が分解される際、イノシン酸に変わるか、アデノシンになった後で、ヒポキサンチンのヌクレオシドであるイノシンへと変わる。

 

イノシンに変わった場合、イノシンのリボースが外れてヒポキサンチンに変わる。ヒポキサンチンは酸化されてキサンチンとなり、キサンチンが酸化を受けることで尿酸へと変わる。

 

また、AMP(アデニル酸)の分解で生成されるヒポキサンチンは、再利用経路に入る場合がある。ヒポキサンチンの再利用経路として、ヒポキサンチンがPRPP(5-ホスホリボシル1-ピロリン酸)が反応することで、イノシン酸が生成できる。

 

 ピリミジンヌクレオチドの分解と再利用

 

・UMPの分解と再利用
RNAが加水分解されたときに生成されたUMP(ウリジル酸)は、UMP→ウリジン→U(ウラシル)→ジヒドロウラシル3-ウレイドプロピオン酸と分解されていき、最終的に二酸化炭素アンモニアβ-アラニンの3つを生成する。
 
また、UMP(ウリジル酸)の分解でできたU(ウラシル)は、再利用経路に入ることでウリジンに変わりうる。そして、ウリジンからさらに、UMP(ウリジル酸)に戻る場合もある。

 

・CMPの分解と再利用
RNAが加水分解されたことで生じたCMP(シチジル酸)は、リン酸が外れることでシチジンに変わる。このシチジンは脱アミノ化を受け、ウリジンとなる。

 

ウリジンから先の分解は、U(ウラシル)→ジヒドロウラシル→3-ウレイドプロピオン酸と進んでいき、最後に二酸化炭素、アンモニア、β-アラニンをそれぞれ生じる。

 

また、シトシンが再利用経路に入ることで、CMP(シチジル酸)に戻る場合もある。