ステロイドホルモン、アミン
ステロイドホルモン
ステロイド構造をもつホルモン(ステロイドホルモン)について、それぞれの産生する組織、ホルモンの名称、そのおもなはたらきを下に示す。
産生する組織 | ホルモンの名称 | ホルモンの主なはたらき |
球状層(副腎皮質) | 鉱質コルチコイド(アルドステロン) |
腎での塩素イオン・ナトリウムイオンの再吸収、
水素イオン・カリウムイオンの排泄の促進 |
束状層(副腎皮質) |
糖質コルチコイド |
体タンパク質の分解、
アミノ酸などを使って糖をつくる(糖新生)
顔・胴の部分の脂肪沈着を促進 |
網状層(副腎皮質)
精巣 |
アンドロゲン(男性ホルモン) |
生殖機能・精子形成の促進
男性の二次性徴を発現させる(男性らしい体つきに変化) |
黄体(卵巣) | ゲスターゲン(黄体ホルモン) |
乳腺の発育を促進
性周期の後半を維持させる |
卵胞(卵巣) | エストロゲン(卵胞ホルモン) |
性周期・生殖機能を維持させる
女性の二次性徴を発現させる(女性らしい体つきに変化) |
副腎皮質ホルモン
副腎皮質でつくられるホルモンは、それぞれコレステロールを材料とするステロイドホルモンである。副腎皮質では、それぞれの層によって作用する経路が違うため、異なるステロイドが生成されることになる。
副腎皮質の束状層と網状層では、上の表以外にも男性ホルモンの前駆体と、卵胞ホルモンの前駆体をそれぞれ生成する。
・糖質コルチコイドの作用
糖質コルチコイドは、わずかながら鉱質コルチコイドと同じ作用をもっている。この作用の存在を考えずに、糖質コルチコイドを抗炎症剤などとして使用すると、わずかな鉱質コルチコイドの作用が副作用として生じてしまうことがある。
それを避けるためにつくられた物質には、糖質コルチコイドがもつ鉱質コルチコイドの作用をより少なくした合成糖質コルチコイドがある。合成糖質コルチコイドには、プレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾンなどの種類がある。
アミン
アミン構造をもつホルモンは、副腎髄質でつくられる副腎髄質ホルモンであり、アドレナリン(エピネフリン)とノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の2つが存在する。
アドレナリンとノルアドレナリンのおもなはたらきは、糖質・脂質の代謝の促進、平滑筋の収縮である。
アドレナリンとノルアドレナリンの生成
アドレナリンとノルアドレナリンは、チロシンから生成される。どのような経路で生成されるのかを、以下に示す。
チロシン → ドーパ(DOPA) → ドーパミン → ノルアドレナリン → アドレナリン
アドレナリン受容体
アドレナリンとノルアドレナリンの両方に対応する受容体のことをアドレナリン受容体という。アドレナリン受容体には、α₁、α₂、β₁、β₂、β₃の5種類がある。結合するアドレナリン受容体によって、おこる作用は異なる。
α₁受容体に結合した場合、ホスホリパーゼCが活性化される。α₂受容体に結合した場合、アデニル酸シクラーゼが抑制される。β₁、β₂、β₃受容体のどれかに結合した場合、1~3のどれであっても、アデニル酸シクラーゼが活性化される。
また、それぞれのアドレナリン受容体の結合によっておこる作用は、それぞれGタンパク質を介して示される。