インスリン、グルカゴン、コレシストキニン、セクレチン、ガストリン

ランゲルハンス島
膵臓(すいぞう)には、ホルモンの分泌を行うランゲルハンス島(膵島)という内分泌組織が、約100万ほど散らばって存在している。

 

ランゲルハンス島に存在する細胞には、α(A)細胞β(B)細胞δ(D)細胞PP細胞がある。α細胞はグルカゴン、β細胞はインスリン、δ細胞はソマトスタチン、PP細胞は膵臓ポリペプチドをそれぞれ分泌する。

 

グルカゴン
グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞で分泌される。ペプチド構造をもつペプチドホルモンにあてはまる。

 

グルカゴンは、肝での糖新生やグリコーゲン分解を促進するはたらきがある。そしてグルカゴンは、その作用によって血糖を上げるホルモンである。また、グルカゴン以外にも血糖を上げるホルモンが存在する。

 

・グルカゴン以外の血糖を上げるホルモン
グルカゴンを除く血糖を上げるホルモンには、GH(成長ホルモン)、糖質コルチコイド、甲状腺ホルモン(T3、T4)、副腎髄質ホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン)などが存在する。

 

インスリン
インスリンは、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞で分泌される。ペプチド構造をもつペプチドホルモンにあてはまる。

 

インスリンには、次のようなはたらきがある。

 

 ・脂肪組織での糖の吸収と、脂肪の合成を促す

 

 ・肝での糖新生を抑える

 

 ・筋肉での糖の吸収と、筋肉や肝におけるグリコーゲン合成を促す

 

インスリンは、その作用によって血糖を下げることができる唯一のホルモンである。インスリンのはたらきが低下したり、インスリンの分泌が少なくなると、糖尿病になってしまうのである。

 

・糖尿病
糖尿病は、1型糖尿病2型糖尿病の2つに分けることができる。

 

1型糖尿病では、インスリンを分泌するランゲルハンス島β細胞が壊されて、ほぼインスリンの分泌がおこらない状態となっている。2型糖尿病では、インスリンの分泌の機能は残っているが、分泌そのものがおこりにくくなっている。

 

 インスリンがつくられる過程
ランゲルハンス島β細胞で、アミノ酸110個のペプチドであるプレプロインスリンが生成される。次に、プレプロインスリンの末端にある24アミノ酸残基で構成されるペプチドが切り離される。

 

それにより、プレプロインスリンは、アミノ酸86個のペプチドであるプロインスリンになる。

 

さらに、プロインスリンがさらに切断されて、アミノ酸21個のA鎖、アミノ酸30個のB鎖、アミノ酸31個のCペプチドに分けられる。そして、A鎖とB鎖が結合することでインスリンが構成される。

 

小腸で分泌されるホルモン
小腸で分泌されるホルモンには、コレシストキニンセクレチンがある。いずれも、ペプチド構造をもつペプチドホルモンである。

 

コレシストキニンとセクレチンがそれぞれもつ、おもなはたらきを以下に示す。

 

・コレシストキニン
コレシストキニンのおもなはたらきは、膵(すい)からの消化酵素の分泌と、胆嚢(胆のう)の収縮を促すことである。

 

・セクレチン
セクレチンのおもなはたらきは、膵(すい)からの重炭素塩の分泌を促すことである。

 

ガストリン
ガストリンは、で分泌されるホルモンである。ペプチド構造をもつホルモンである。ガストリンのおもなはたらきは、胃酸の分泌を促すことである。