無機質、微量元素、水

無機質
無機塩類のうち、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、ナトリウムなどを無機質という。無機質は、細胞を構成する成分になり、また体液の成分として、体液に含まれている。

 

一部の無機質の主な作用を、以下に示す。

 

・カルシウム
カルシウムは、骨や歯などの形成や血液の凝固に関与する。また、筋肉の収縮の調節、神経や筋肉の興奮などにも関わっている。

 

体内に存在するすべてのカルシウムのうち、約99%が骨と歯に含まれている。その際、骨と歯に含まれているカルシウムは、炭酸塩やリン酸塩などの状態で存在している。

 

・カリウム
カリウムは、それぞれ筋肉の収縮の調節に関わっている。また、筋肉や神経の興奮などにも関わっている。

 

・リン
体内に存在するすべてのリンのうち、約80%がリン酸カルシウムやリン酸マグネシウムの状態で、骨と歯に含まれている。

 

上記以外の約20%のリンは、リン酸エステルの形で体内に存在している。

 

このリン酸エステルの全体のうち、約50%は、ヌクレオチドや補酵素などを構成する成分になっている。残りの約50%は、核酸やリン脂質などを構成する成分になっている。

 

・マグネシウム
マグネシウムは、それぞれ筋肉の収縮の調節に関わっている。また、筋肉や神経の興奮性を抑える働きをもつ。体内に存在するすべてのマグネシウムのうち、約70%がリン酸マグネシウムとして骨と歯に含まれている。

 

・ナトリウム
ナトリウムは、浸透圧の維持、神経の刺激の伝導、水分の代謝の調節などに関わっている。

 

・塩素
塩素は、胃液の成分になっている。また、塩素イオン(Cl-)の形で、主に細胞外液に存在している。

 

・硫黄
硫黄は、ビタミンB1やビオチンなどのビタミン、メチオニンなどの含硫アミノ酸、補酵素A(CoASH)などの構成成分になっている。

 

・鉄
鉄は、ヘモグロビンをつくるのに必要となる。体内に存在するすべての鉄のうち、約70%がヘモグロビンに含まれるヘムを構成する成分となっている。

 

・銅
銅は、アミン酸化酵素などの補助因子となって作用する。

 

体内の銅が不足した場合、貧血を起こすことがある。これは、ヘモグロビンにあるヘムの合成に関わっている酵素には、銅を補助因子としている酵素がいくつか存在するためである。

 

・亜鉛
亜鉛は、体の成長や生殖機能に関わっている。また、亜鉛は炭酸脱水酵素やアルコール脱水素酵素などの補助因子となって作用する。

 

・マンガン
マンガンは、アルギナーゼなどの特定の酵素の補助因子となって作用する。また、骨の形成や生殖の維持には、マンガンが不可欠である。

 

・ヨウ素
ヨウ素は、甲状腺ホルモンであるトリヨードチロニンとチロキシンを、それぞれ構成する成分となっている。体内のヨウ素が足りなくなった場合、ヨウ素の欠乏症として甲状腺腫を発病する場合がある。

 

 微量元素(微量無機質)
酸素(O)、水素(H)、炭素(C)、窒素(N)の4つの元素は、生体を構成するための主な存在となっている。

 

上記の4つの元素以外にも、生体を構成する元素がある。ごくわずかしか体に存在しないものの、生体を構成するものとなる元素のことを、微量元素(微量無機質)という。

 

微量元素にあてはまるものには、(Fe)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、(Cu)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ヨウ素(I)などがあげられる。

 

 


水は、細胞や体液に含まれる重要な成分の1つである。また、消化液や唾液などの液体を構成する成分の1つでもある。

 

そして、水は体に存在する有害物質や老廃物などを、尿の形で排出するためにも欠かせないものである。成人の場合、体重の約60%が水で占められている。また、骨の全体の20~40%は、水によって構成されている。