痩せ、飢餓、絶食 − 健康と医療の情報局

 

痩せ、飢餓、絶食

 

痩せ(やせ)
BMIを求めたときに、その値が18.5以下である状態が痩せ(やせ)とされる。BMIを求める式は、以下のとおりである。

 

 ・BMI=体重(kg)÷(身長(m2))

 

エネルギーの摂取量より消費量が多いとき、痩せの状態になる。痩せが起こる原因となるのは、主に以下のような場合である。

 

 ・食糧不足や食欲不振などで、食事の量が足りなくなる場合

 

 ・糖尿病などの病気によって、摂った栄養を使うのに異常がある場合

 

 ・消化器や肝臓の疾患などによって、消化と吸収が正常でない場合

 

 ・手術やケガなどによって、多くの熱量が消費される場合

 

 ・バセドウ病などによって、代謝が高められている場合

 

病気によって起こる痩せのことを、るいそうということがある。るいそうの場合には、その原因となるものを治療することが望ましい。

 

 

飢餓
エネルギー消費量に比べて、エネルギー摂取量がとても少ない場合、体に蓄えられているエネルギー(エネルギー貯蔵量)が減少する。この状態を飢餓という。飢餓は、前述の痩せ(やせ)と同じ原因で起こる。

 

飢餓が続くと、グルコースの濃度が減る。その一方で、脂肪酸とケトン体の濃度が増える。また、健康な状態の代謝と、飢餓の状態の代謝とでは、その違いが大きい。

 

・絶食による飢餓の状態
食事を摂らないようにすることを絶食という。絶食によって飢餓となると、体には以下のようなことが起こる。

 

 ・絶食1日目
絶食を始めると、1日のうちに、体内にグリコーゲンの状態で溜められていた糖質が消費し尽くされる。そして、中性脂肪(トリグリセリド)と、筋などに含まれる構造タンパク質がエネルギーとして使われるようになる。

 

脳の活動の維持には、糖質によって得られるATP(アデノシン三リン酸)を必要とする。そのため、一定の値に血糖値を維持しなくてはならない(約40mg/デシリットル)。

 

血糖値を維持するために、タンパク質が分解されてアミノ酸となる。そして、そのうちの糖原性アミノ酸からグルコースがつくられる。この場合、より分解されるのは、骨格筋に含まれるタンパク質である。

 

これによって、骨格筋を構成するタンパク質が減りすぎてしまうと、その個体が生存することが難しくなる。そうならないため、脂質とケトン体が糖新生の材料やエネルギー源として使われる。

 

 ・絶食2日目
絶食を始めて2日目になると、脂肪組織内の中性脂肪がより盛んに分解される。そして、中性脂肪の分解により、グリセロールと脂肪酸とがつくられる。

 

このとき、血液に含まれる脂肪酸の量が倍以上に多くなる。脂肪酸は、骨格筋に送られてβ酸化を受け、エネルギーをつくる。

 

また、肝臓へと送られて糖新生の材料となる。糖新生には、脂肪酸だけでなくグリセロールも材料に使われる。

 

これらの作用によって、タンパク質が分解され過ぎることなく、血糖値を一定に保ち、エネルギーを得ることができる。

 

 ・絶食2〜3日目
絶食を始めて2〜3日になると、脂肪酸からつくられるアセチルCoAが、大量に存在する状態になる。

 

アセチルCoAだけでなく、オキサロ酢酸がなければ、クエン酸回路に入ってATPをつくることができない。しかし、絶食中はグルコースが少なくなるのと同じく、オキサロ酢酸も少なくなる。

 

そのため、クエン酸回路に入れずに余ったアセチルCoAは、ケトン体に変わる。このケトン体が、脳や筋などのエネルギーとして使われる。

 

これにより、肝臓ではケトン体が数多くつくられる。そのため、血液に含まれるケトン体の濃度は、100倍以上にもなる。

 

 ・絶食3日後
絶食を始めて3日経つころには、脳で消費されるエネルギーの約1/3がケトン体に変わる。さらに、1週間以上も飢餓の状態が続く場合、脳や筋などで使われるエネルギー源は、ケトン体が中心になる。

 

これにより、必要なグルコースの量が減り、骨格筋のタンパク質もほとんど分解されなくなる。そして、飢餓の状態でも、生命を長く維持できる。

 

また、健康な人であれば、2ヶ月以上飲み水だけで生きることが可能であるとされている。