感覚受容器、皮膚感覚、深部感覚

感覚器
体の外側からの刺激、または体の内側からの刺激を受け取る器官のことを、感覚器という。

 

神経の終末の部分は、刺激を受け取る感覚受容器になっている。感覚受容器に受け取られた刺激は、末梢神経を通して大脳に伝えられる。これによって、自分の周りの状況や異常などの知覚ができる。

 

 感覚受容器
感覚受容器にはいくつかの種類があり、それぞれが適する刺激(適刺激)を受け取り、大脳それぞれが対応する中枢へと伝えられる。

 

 適刺激
それぞれの感覚受容器ごとに、受け取る刺激が決まっている。その感覚受容器に適した刺激のことを、適刺激という。

 

たとえば、聴覚器の場合は、音が適刺激となる。また、視覚器の場合は、光が適刺激となる(紫外線や赤外線などの例外あり)。

 

 閾値(いきち)
適刺激が感覚受容器に与えられたとしても、感覚受容器が感じとれる強さをもつ刺激でなければ、知覚することができない。感覚受容器が知覚できる最も小さい刺激の強さのことを、閾値(いきち)という。

 

 順応(適応)
ある一定の時間の間、感覚受容器が刺激を受け続けることで、その刺激による感覚が徐々に弱くなる場合がある。このことを、順応(適応)という。

 

 錯覚
刺激を受けたときに、その刺激を異なるものとして知覚する場合がある。このことを錯覚という。

 

 幻覚
刺激を受けていないのに、刺激を受けたときの感覚が起こることを幻覚という。音が鳴っていないのに音が聞こえたり、存在しないものが見えたりすることなどが、幻覚の例としてあげられる。

 

 

皮膚感覚
皮膚で感じ取る感覚のことを、皮膚感覚という。皮膚に存在する神経終末には、痛覚圧覚触覚温覚冷覚などを担当するものがある。これらは、一定の間隔に散らばって分布している。

 

皮膚には、与えられた刺激を感じ取る点が存在する。刺激を感じ取る点には、痛点圧点触点温点冷点などがある。これらの点は、それぞれ分布する密度が決まっている。

 

刺激を感じ取る点の密度を、それぞれ以下に示す。

 

 ・痛点 … 1平方センチメートルあたり約100~200個

 

 ・圧点+触点 … 1平方センチメートルあたり約25個

 

 ・温点 … 1平方センチメートルあたり約1~4個

 

 ・冷点 … 1平方センチメートルあたり約2~13個

 

 体の内部における痛覚
皮膚に存在するような痛覚は、体の内部には存在しない。そのため、皮膚で感じるのに近い痛みは、体の内部では感じない。

 

・皮膚分節、関連痛
特定の脊髄後根にある知覚神経が支配する皮膚の領域のことを、皮膚分節という。内臓の疾患によって、その内臓の皮膚分節に含まれている皮膚に痛みを感じる場合がある。このように感じる痛みのことを、関連痛という。

 

内蔵からは、それぞれ感覚路が出ている。内臓の感覚路は、自身が出ている内臓の位置(高さ)にある脊髄節に入り込んでいる。

 

それぞれの脊髄節には、皮膚からの感覚路も入り込んでいる。それにより、同じ脊髄節に入り込んでいる内臓に痛みを感じた場合、その内臓が感覚路を入れている脊髄節に感覚路を入れている皮膚に痛みを感じる場合がある。

 

・かゆみ
皮膚や粘膜などで生じる、爪でかきたくなるような不快な感覚の事を、かゆみという。内臓などの場合、かゆみの感覚は起こらない。

 

 

深部感覚
筋、腱、関節などから伝わる位置覚、振動覚、関節での運動覚などの感覚のことを、深部感覚という。筋、腱、関節などからそれぞれ伝達された刺激は、それぞれ以下の受容体によって中枢に伝えられる。

 

 ・筋紡錘 … 筋に含まれる

 

 ・腱紡錘 … 腱に含まれる

 

 ・ファーテル・パチニ小体 … 腱や靱帯に含まれる

 

これらの受容体を介して中枢に刺激が伝えられることで、深部感覚を知覚することができる。

 

上記の神経路が存在することにより、重さを感じ取ることや、自分の位置を知覚することなどが可能となっている。

 

体性感覚
上記で取り上げた皮膚感覚と深部感覚とをまとめて、体性感覚という。