視覚、視細胞、視覚における伝導路、縮瞳・散瞳

視覚
視覚器は眼球眼球付属器で構成される。眼球付属器には、眼瞼(がんけん)、眉毛涙腺眼筋の4つがある。また、視覚器のうち、視覚を担当するのは眼球である

 

視細胞
眼球の網膜の中には、視細胞がある。この視細胞が、視覚の受容器となっている。視細胞は、杆体(かんたい)と錐体とに分類されている。

 

・杆体、錐体
網膜の中心の部分には、錐体が多く集まっている。また、網膜の周りの部分には、杆体が多く集まっている。杆体は中心窩には存在しない。

 

 ※中心窩 … 網膜の中心部分で、なおかつ視神経円板の少し外側には、中心窩がある。

 

光の刺激(興奮)が視細胞に発生した場合、この興奮は、視神経を通して大脳にある視覚中枢に伝わる。それによって、視覚を感じ取ることができる。

 

また、中心窩と正視したものの像が交わる場合が、見たものが最も明確に見える。

 

杆体がもつ色の感度は低くなっている。そのため杆体では、見たものの色の認識が十分にできない。その一方で、光があまり届かない場所などでものを見る場合には、杆体が優れている。

 

視覚における伝導路

 

 視交叉と神経線維
視神経は、視交叉を通して、視床にある視覚中継核(外側膝状体)へとつながっている。視覚中継核からは、新しい神経細胞(ニューロン)が出ている。その神経細胞は、後頭葉にある視覚中枢へと到達する。

 

網膜から出ている神経線維のうち、内側(鼻に近い方)から出ているものは、視交叉で交差してから、反対側にある視覚中枢に到達する。

 

その一方で、網膜の外側(耳に近い方)から出ている神経線維は、視交叉で交差せず、同じ側にある視覚中枢に到達する。

 

 光の屈折
空中から水中に光が入ると、空気の密度と水の密度との違いによって、その光は水の表面で屈折する。このとき、空気の屈折率が1だとすると、それに対する水の屈折率は1.333になっている。

 

眼球には、透光体が存在する。透光体には、水晶体硝子体眼房水角膜などがある。

 

透光体のうち、水晶体の屈折率は、1.42になっている。水晶体以外の透光体(硝子体、眼房水、角膜など)の屈折率は、約1.3になっている。

 

眼球で行われる光の屈折のうち、全体の2/3は角膜によって行われる。そして、残りは水晶体によって行われる。

 

眼球での光の屈折の調節のうち、そのほとんどが水晶体で行われている。また、水晶体の厚さを調節するのは、水晶体の周りに存在する毛様体小帯毛様体筋である。

 

毛様体筋を支配しているのは、動眼神経に含まれている副交感神経である。

 

・近点を見る場合の調節、縮瞳
近点を見る場合には、しっかりと光が屈折するように、水晶体を厚みを増やす必要がある。そのようにしなければ、焦点が網膜に合わない。

 

近いところを見る場合、毛様体筋が自然に収縮を起こす。すると、毛様体の内側にある輪が縮小し、毛様体小帯がゆるむ。

 

それにより、水晶体を引っ張る力が弱くなる。さらに水晶体がもつ弾性によって、水晶体そのものの厚みが増える。また、このときの瞳孔のサイズは、瞳孔括約筋が収縮することによって縮められる。これを縮瞳という。

 

瞳孔括約筋を支配するのは、動眼神経に含まれる副交感神経である。

 

・遠点を見る場合の調節、散瞳
遠点を見る場合には、瞳孔散大筋の収縮によって瞳孔が広げられる。これを散瞳という。また、瞳孔散大筋を支配するのは、頸部の交感神経である。

 

・明暗調節
明るい場所や暗い場所でものを見る場合、瞳孔のサイズが反射的に調節される。

 

瞳孔に明るい光が入る場合、反射的に瞳孔が縮められる(縮瞳する)。瞳孔に暗い光が入る場合、反射的に瞳孔が広げられる(散瞳する)。これが瞳孔の対光反射である。