血流の速さ、脈拍とその異常

血流の速さ
大動脈を通る血流は、1秒あたり約50cm進む速度になっている。また、大動脈を通る血流の速度は、収縮期では速くなるが、拡張期では遅くなる。

 

大動脈から末梢に進むにつれて、血流の速度は遅くなる。毛細血管を通る血流は、1秒あたり約0.05cm進む速度である。静脈に入ると、血流は少しずつ速くなる。大静脈を通る血流は、1秒あたり約15cm進む速度になる。

 

血管の断面積の合計は、血流速度に関わっている。

 

毛細血管のように、血管の断面積の合計が大きいところでは、血流速度が遅くなる。大動脈のように、血管の断面積の合計が小さいところでは、血流速度が速くなる

 

血液が体中をひとめぐりするのにかかる時間を、循環時間という。循環時間の平均は、約50秒である。

 

一番近い場所を通る血液の場合は、約23秒でひとめぐりする。

 

 

脈拍
心臓の拍動が起こると、そのたびに血管が拍動を起こす。このことを、脈拍という。

 

脈拍は、橈骨動脈が通っている手首の内側の表面を指などで触れることで、確認することができる。橈骨動脈以外にも、顔面動脈、上腕動脈、総頸動脈など、さまざまな場所で脈拍を確認することができる。

 

脈拍が確認できなくなる、または脈拍が弱くなる疾患として、脈なし病、上腕動脈の塞栓症などがあげられる。

 

 脈拍の異常
心臓の拍動の状態は、脈拍に表れる。心電計などの機器や聴診器がない場合、脈拍を調べることが、心臓の状態を判断するための1つの材料になる。

 

・頻脈
脈拍数が100回/分以上となるものを頻脈という。

 

・徐脈
脈拍数が50回/分以下となるものを徐脈という。

 

・速脈
脈の波が速く立つものを速脈という。

 

・遅脈
脈の波が遅く立つものを遅脈という。

 

・小脈
触れたときに、拍動が小さく弱く感じる脈を小脈という。

 

・大脈
触れたときに、拍動が大きくはっきりと感じる脈を大脈という。

 

・軟脈
触れたときにやわらかく感じる脈を軟脈という。

 

・硬脈
触れたときに硬く感じる脈を硬脈という。

 

・脈拍と不整脈
不整脈でない状態では、脈拍数と心拍数は同じになるのが一般的である。また、規則性がない脈であれば、すべて不整脈にあてはまる。

 

・脈拍欠損
心臓の拍動に規則性がなく、左心室に十分に血液が満たされてないときに収縮してしまうと、少ない拍出量、または空打ちとなって弱い脈拍になる。そのため、その脈拍による拍動が、末梢まで届かなくなる。

 

脈拍が規則的に打っているが、ときに脈拍のうちの1つが欠けるものを脈拍欠損という。

 

心房細動の場合も、脈拍欠損と同じである。先に進んでいる心室収縮と、その後に続いて進んでいる心室収縮との間が短い場合、拍出量が少なくなる。そして、末梢まで脈が伝達しない。

 

心房細動の場合、心室拍動を放っておいても、心室拍動の速度が上がりやすい。さらに、頻脈のときには、有効となる心拍出量が心拍の半分ほどになる。これにより、脈拍の減少が大きくなる場合がある。

 

心房細動の場合では、心拍数を調べることを重要にし、脈拍は考えないほうが良い。