筋の疲労・神経支配

筋の疲労
筋収縮では、次のような化学変化が行われる。

 

 1.ATP(アデノシン三リン酸)の分解

 

 2.CrP(クレアチンリン酸)の分解

 

 3.ATPの再合成

 

 4.CrPの再合成

 

筋の疲労は、筋収縮における化学変化に関わるものである。この化学変化のどこかに異常が起こると、筋が収縮を起こしにくくなっていく。そして、最終的に筋の疲労が引き起こされる。

 

激しい運動のときなど、酸素が足りない状態でくり返し筋を収縮する場合、体の中に乳酸がつくられる。その乳酸は、そのまま体に溜め込まれていく。

 

体内の乳酸が増えすぎたことで、グリコーゲンの分解が障害される。その結果、筋の収縮する力が低下する。

 

 筋の疲労回復
疲労を起こした筋の回復を促すためには、筋肉での代謝を改善する必要がある。それには、以下の方法があげられる。

 

 ・筋の収縮によって消費された糖質などの物質を補給する

 

 ・筋に溜め込まれた乳酸などの物質を取り除く

 

激しい運動を行った後は、必ず体を休め、運動で失われた栄養素の補給をすることが大切である。

 

 

筋の神経支配・動作
体を動かしたり、体の姿勢を維持したりする場合、それぞれの度合いで筋の収縮が起こる。こうした筋の収縮は、神経によってすべて支配されて行われている。

 

 随意運動、不随意運動
人の体の運動には、随意運動不随意運動とがある。

 

人が自分の意思で行う運動のことを、随意運動という。また、人の意思とは関係なく行われる運動のことを、不随意運動という。反射神経も、不随意運動にあてはまる。

 

 運動の支配
大脳皮質の前頭葉にある中心前回には、ベッツ細胞という大きな錐体細胞がある。ベッツ細胞からは、随意運動の命令を行う伝導路である錐体路が出ている。その錐体路によって、随意運動が支配されている。

 

さらに、各種の反射運動や、運動の力の加減を調節する錐体外路系の支配なども、随意運動に関係している。そして、これらの要素によって、随意運動をよりスムーズに行えるようになっている。

 

上記のことにより、文章を書いたり、掃除をしたりする場合でも、これらの作業を続けていくうちに、無意識に近い形での作業ができるようになる。