細胞膜、受動輸送、能動輸送

細胞膜の構造
細胞膜は、細胞の表面をおおう膜である。細胞膜によって、内側の細胞と外側の細胞が分けられている。

 

細胞膜は、脂質の2重の層で構成されるものがほとんどである。それらの細胞膜のところどころには、タンパク質が存在する。

 

・機能性タンパク質
細胞膜に存在するタンパク質には、イオンを通り抜けさせる働きをもつイオンチャネルや、ホルモンなどと結合する役割をもつ受容体などがある。これらのタンパク質のことを、機能性タンパク質ともいう。

 

・細胞膜の選択的透過性
物質によって、透過性が異なる性質のことを選択的透過性という。また、透過性とは、膜が物質を通り抜けさせる性質のことである。

 

脂質の2重の層では、水や空気は自由に通り抜けられるが、アミノ酸やイオンなどが通り抜けにくくなっている。このような選択的透過性が、細胞膜に備わっている。

 

 

細胞膜による物質輸送
細胞膜による輸送には、受動輸送能動輸送の2種類がある。

 

 受動輸送
ある一定の濃度と、それとは違う濃度が接している場合、それらの物質同士に濃度勾配があることになる。濃度勾配は、濃度を均等にしようとする。そのため、高い濃度から低い濃度に物質が移動する。

 

このような、濃度の差を用いた輸送のことを受動輸送という。受動輸送は、エネルギーを消費せずに行うことができる。受動輸送にあてはまる輸送方法には、拡散濾過(ろか)、浸透の3つがある。

 

・拡散
上記の受動輸送の説明のように、濃度勾配の作用で、高い濃度から低い濃度に物質が移動することを拡散という。

 

・濾過(ろか)
大きい粒子の物質と小さい粒子の物質が混ざった液体が入った水槽の真ん中に、小さい粒子の物質だけが通れる穴が開いた膜があると仮定する。

 

このときに、片方の液体の圧力がもう片方の液体よりも高い場合、小さい粒子と水だけが圧力の差によって圧力が低いほうの液体に移動する。

 

このように、通り抜けられる物質を、圧力の差によって移動させることを濾過(ろか)という。

 

・浸透
塩がとけた水が入った容器と、普通の水が入った容器があり、その容器同士の境目を半透膜という膜に変えたと仮定する。

 

小さい粒子である水は、半透膜を通過できるが、水よりも大きい粒子である塩は、半透膜を通過できない。

 

このときに、互いの液体の濃度を均一にしようとして、水だけ入った容器に含まれる水が、塩水の入った容器の中へと引き寄せられる。そして、塩水の水かさの方が高くなる。

 

このように、濃度の高い方に水が移動することを浸透という。また、水を引き寄せる力そのもののことを、浸透圧という。

 

 

 能動輸送
濃度勾配に逆らう形で、細胞膜を通過させて物質を運ぶことを能動輸送という。能動輸送は、エネルギーが必要な輸送方法である。

 

 

受容体
細胞がもつ機能は、神経伝達物質や内分泌腺によって分泌されるホルモンによって調節される。ホルモンや神経伝達物質を受け取るものとして、受容体がある。

 

受容体は細胞に存在する機能性タンパク質にあてはまり、受容体の種類もさまざまである。

 

 リガンド
特定の受容体だけを認識し、その受容体に結合できる物質のことをリガンドという。