自律神経系の中枢・異常
自律神経系の中枢
自律神経系の中枢には、主に以下のようなものがある。
・交感神経の節前ニューロン(節前線維)が存在する脊髄側角
・脳幹にある網様体
・第四脳室や中脳水道の周りに存在する灰白質である中心灰白質
また、これらの自律神経系の中枢がもつ作用をまとめている中枢がある。その中枢は、間脳にある視床下部に存在する。
感情による自律神経系への影響
自律神経系の機能は、感情の変化によっても左右される。恐怖を感じて顔が白くなったり、緊張して顔が赤くなったりするのも、自律神経系の機能が、そのときの感情の影響を受けるために起こる。
自律神経系における異常
自律神経系は、交感神経系と副交感神経系とに分けられる。
・交感神経緊張(交感神経緊張症)
交感神経緊張(交感神経緊張症)とは、交感神経の興奮状態によって、バランスが崩された状態のことである。交感神経緊張の場合、主に以下のような特徴がみられる。
・顔が青白くなる
・便秘気味になる
・心臓の拍動が多い
・心悸亢進が現れる
・迷走神経緊張(迷走神経緊張症)
迷走神経は、脳神経の1つであり、副交感神経の主体となっている神経である。迷走神経緊張(迷走神経緊張症)とは、迷走神経の興奮状態によって、バランスが崩された状態のことである。
迷走神経緊張の場合、主に以下のような特徴がみられる。
・顔が赤くなりやすい
・下痢気味になる
・心臓の拍動が少ない
・低めの血圧になる
自律神経における疾患
自律神経系の疾患のうち、主なものを以下に示す。
・レイノー病
レイノー病の場合、交感神経である血管収縮神経の働きがとくに強められる。すると、血管が収縮を起こし、血液の流れる量が減少する。その結果、血液の流れが少なくなった場所の温度が下がる。さらに、その場所は青白くなる。
また、血管収縮神経は、上肢と下肢にそれぞれ分布している。
・ホルネル症候群
動脈瘤や腫瘍などによって、頸神経節や上方にある胸神経節が圧迫された場合、それらの神経の機能が止められる。それにより、主に以下のような症候が現れる。
・瞳孔散大筋の麻痺 : 脊髄性瞳孔縮小症が現れる
・眼瞼筋の麻痺 : 眼裂が狭くなる
・眼窩筋の麻痺 : 眼がくぼむ
上記の3つを三大症候としている疾患である場合、それをホルネル症候群という。