心筋の特徴・収縮、心周期、スターリングの心臓の法則 − 健康と医療の情報局

 

心筋の特徴・収縮、心周期、スターリングの心臓の法則

 

心筋

 

 心筋の特徴
骨格筋と同じ横紋は、心筋にも存在する。その一方で、心筋の収縮のメカニズムは、骨格筋のものとは違うところがある。

 

心筋の構造や機能の特徴のうち、骨格筋にはないものを以下に示す。

 

 ・それぞれの心筋細胞の間には介在板(境界板)がある。これにより、細胞の間での電気抵抗が少なくなるため、心臓全体がすばやく収縮される。骨格筋には、介在板はない。

 

 ・心筋は、骨格筋よりも伸びにくくて硬い。そのため、心筋は自身の大きさや形をすばやく変えられない。

 

 ・心筋が行う収縮は、必ず単収縮になっている。骨格筋のように刺激の頻度を増加させても強縮を起こさない。心筋を刺激しても、心筋が拡張する手前になるまでは再び興奮しない。

 

 ・心筋では、収縮と拡張とが決まったリズム、もしくは自動でくり返される。

 

 ・心筋細胞は、骨格筋よりも多くのミトコンドリアを含む。また、心筋が含んでいる筋小胞体は、少量である。心筋が興奮を起こす際、細胞内のカルシウムの他に、細胞の外のカルシウムまで使う。

 

 心筋の収縮
心筋が収縮する力を心収縮力という。そして、この心収縮力の変化のことを、変力作用という。

 

心収縮力は、細胞外液に含まれるカルシウムイオンの濃度の増加や、ジギタリスやカテコールアミンの働きなどで大きくなる。このように、心収縮力が強くなる変力作用を陽性変力作用という。

 

上記の反対に、心収縮力が弱まる変力作用のことを陰性変力作用という。

 

血液中のカリウム濃度の値が10〜12mEq/リットルを超える場合、心室筋の興奮性が抑えられる。その結果、心拍が止まる。また、心筋が大きく弱っている場合、心筋は、刺激の反応による収縮を起こさなくなる。

 

 

心周期
心臓は周期的に拍動を行っている。心臓の拍動の周期のことを、心周期という。心周期は、収縮期拡張期(弛緩期)とに分かれている。

 

心臓の収縮が始まる場所は、右心房の洞房結節である。そして、ほぼ同時に右心房と左心房が収縮を行う。それに続いて、右心室と左心室とが収縮を起こす。

 

心室が収縮している間に、心房はすでに拡張している。そして、心室が収縮した後で、心室の拡張が始められる。

 

心拍数を70回/分とした場合、1心周期の時間、心室収縮の時間、心室拡張の時間は、それぞれ以下のようになる。

 

 ・1心周期の時間 … 0.86秒

 

 ・心室収縮の時間 … 0.34秒

 

 ・心室拡張の時間 … 0.52秒

 

心拍数の速度が速くなるほど、拡張期が短くなる。収縮期と拡張期とがほとんど同じ時間になるのは、心拍数が120回/分になった場合である。心拍数が120回/分を上回る場合、拡張期よりも収縮期の方が長くなる。

 

 

スターリングの心臓の法則
拡張期において心室を満たす血液の量が増加し、心筋が強く伸び広げられると、心収縮期での心筋の収縮力がより大きくなる。この法則を、スターリングの心臓の法則という。

 

しかし、心収縮力は、心筋が一定の長さを超えた場合には、それほど強くはならない。

 

心筋が障害されるなどで、心収縮力が下がった場合には、心室の壁が強く引き伸ばされても、心収縮力は正常なときに比べて、それほど強くならない。

 

左心室の拡張末期圧を20mmHg以上に上昇させたとき、心収縮力は増えるどころか減ってしまう。